岡山市「路面電車の環状化」費用負担の方向性を本年度中に提示へ 新市民会館ルート



新市民会館(岡山芸術創造劇場)付近を通る路面電車のイメージ。【画像:岡山市】

岡山市の大森雅夫市長は6月14日の市議会本会議で、岡山電気軌道(岡山電軌、岡電)が運営する路面電車の延伸・環状化構想について、本年度2021年度中に費用負担などの方向性を示す考えを明らかにした。自民党の田口裕士議員の質問に答えた。

大森市長によると、岡電は岡山市に対し「従来通りのスキームでは、特許申請で国が求める30年間での採算性の確保が困難」と回答。岡山市が施設を整備、保有して岡山電軌に貸し付ける「完全公有民営方式」での整備を申し入れたという。

岡山市は10月から高齢者・障害者割引を実施する予定で、運賃適正化の実施も予定している。大森市長は「これらの政策が採算性や経営の安定性に与える影響が大きいと考えている。こうしたことを考慮した採算性について、具体的、定量的に検討するよう都市整備局に指示した」とし、この検討結果を踏まえて2022年度の予算までに方向性を出す方針を示した。

大雲寺前~西大寺町間の環状化ルート(赤)。【画像:国土地理院地図、加工:鉄道プレスネット編集部】

岡山市は昨年2020年2月、「岡山市路面電車ネットワーク計画」を策定。全7区間の構想を盛り込んだ。このうち大雲寺前~西大寺町間の0.6kmを整備して路面電車の環状化を図る構想について「大きな課題はないことから、短期的な事業として位置付け、事業に取り組むことが妥当」とした。途中、2023年夏頃の開館が予定されている新市民会館(岡山芸術創造劇場)付近を通るルート。単線整備で概算事業費は9億円、費用対効果は1.93とされている。

このほか、岡山電軌の岡山駅前停留場から0.1km延伸して岡山駅前広場に乗り入れる計画が進行中。2023年度の開業を予定している。

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