国土交通省は11月27日、広島電鉄が申請していた新線の計画について、軌道法に基づき特許(営業の許可)すると発表した。
広島電鉄は広島市内の路面電車を運営しており、約1.1kmの新線を計画している。新線は広島電鉄比治山線の比治山下停留場付近から北上して駅前通りに入り、稲荷町停留場付近で広島電鉄の本線と交差。駅前大橋を通って広島駅南口広場に乗り入れる。南口広場へは高架橋で進入してJR広島駅に接続。城北通りとの交差が立体化される。
比治山下~稲荷町間には停留場を1カ所新設。稲荷町停留場付近では本線の広電西広島寄りからも新線の広島駅寄りへ進入できるようにする。新線の整備により、広島市の中心部から広島駅までの乗車時間は約4分短縮され、広島駅でのJR線への乗り換え時間も約1分短縮されるという。
また、新線の整備に伴い、本線の広島駅~的場町間は廃止。本線と比治山線が現在接続している的場町停留場は、循環運転できるよう軌道を整備し直し、路面電車の環状ルートを新たに構築する。
広島電鉄のターミナルである広島駅停留場付近は現在、地上の道路を走る。車と信号の影響で、ラッシュ時には停留場に進入できない車両が行列を作っている状況だ。このため、路面電車を高架橋で広島駅に進入させる新線を整備し、定時性や速達性の確保を図るという。
総事業費は109億円。このうちインフラ部(高架橋などの施設)の整備費は約83億円で、国や自治体の負担が想定されている。インフラ外部(インフラ部以外の施設)の約26億円は、広島電鉄が3分の2を負担し、残りの3分の1は国と自治体で折半する。
中国運輸局長は11月29日、広島電鉄に対し特許状を交付する予定。2025年春の開業を目指す。