山形新幹線「米沢トンネル」ルート決定へボーリング 板谷峠を短絡、JR・山形県が調査



山形県は9月12日、今年2022年9月補正予算案の概要を発表した。福島・山形県境の山岳地帯(板谷峠)に新しいトンネルを整備する構想「山形新幹線米沢トンネル(仮称)」の事業調査について債務負担行為を設定。本年度2022年度からルートの決定に向け追加調査を行う。

山形新幹線の「つばさ」。【画像:TaYm/写真AC】

現在は地権者調査を山形県とJR東日本が共同で実施中。これに続く調査として具体的ルートの検討を進めるため、ボーリング調査などをJR東日本と共同で実施する。2022年度に調査準備を行って調査を開始。2024年度まで調査を実施するスケジュールだ。調査期間が約2年に及ぶことから、山形県は2022年9月補正予算案で2億8100万円を限度額とする債務負担行為を設定。調査費用の一部を同県が負担する。

米沢トンネルはこれまで「板谷峠長大トンネル」「新板谷トンネル」などと呼ばれてきた構想。ミニ新幹線化された奥羽本線(山形新幹線)の板谷峠に新しいトンネルを設けて短絡ルートを整備する。200km/h以上での高速走行も可能な緩やかなカーブのルートを採用して10分強の短縮を図るほか、大雪などによる運行への影響を減らすことを目指す。

JR東日本が2017年に示した調査結果によると、福島県側の庭坂駅付近から山形県側の関根駅付近まで24.9kmの短絡線を整備。このうち23.1kmが福島・山形県境をまたぐ長大トンネルになる。概算事業費は1500~1600億円程度で工期は約15年とされている。

米沢トンネル(新板谷トンネル)の想定ルート。【画像:国土地理院地図、加工:鉄道プレスネット】

山形県の吉村美栄子知事によると、地権者調査後の調査についてJR東日本と協議を実施。JR東日本から想定ルートの決定に向けボーリング調査などを共同で実施したいと提案があり、調査費の一部を負担するため債務負担行為を設定するという。

吉村知事は「今回の調査を実施することにより、トンネルの具体的なルートの検討がより進むことになる。想定ルートが固まってくると次は政府の予算措置を含めた事業スキームの確定や設計、環境アセスメントなどの手続きが必要」と話し、ボーリング調査の実施による構想の進展に期待感を示した。

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