秋田新幹線「新仙岩トンネル」2024年3月に調査結果を取りまとめへ



秋田県は田沢湖線(秋田新幹線)の新仙岩トンネル整備計画について、2024年3月までに調査結果を取りまとめる方針を固めた。調査の総事業費は2億9700万円。このうち半分を秋田県が負担する。

新仙岩トンネルのイメージ。【作画:鉄道プレスネット編集部】

秋田県の交通政策課によると、今年2021年10月にJR東日本と調査協定を締結する予定。12月から河川管理者や道路管理者など関係機関との調整や、地権者の調査・協議などを行う。その後、2023年4月からボーリング調査や弾性波探査、詳細地表調査などを実施する。

ボーリング調査は4地点で実施。地表から中空管を差し込んで岩や土などを採取し、その性質と強度などの試験を行う。弾性波探査は3測線の5.5kmで行う。地表付近で人工的な振動を発生させ、返ってきた振動から地下の岩などの種類・硬さや断層の有無などを推定する。詳細地表調査は2地区の4.8平方kmで断層や露出している岩などを現地確認する。

このほか、湧水・利水などの状況を把握する水文調査を区間全域で実施。トンネル出入口部分に新設する橋りょうなどについても、位置や大まかな構造形式などを検討するため地質調査や測量などを行うという。秋田県は2024年3月までに調査結果を取りまとめる方針だ。

東北新幹線(黒)と秋田新幹線(紺)。岩手・秋田県境の赤渕~田沢湖間に新仙岩トンネルを整備することが考えられている。【画像:国土地理院地図、加工:鉄道プレスネット編集部】

新仙岩トンネルは岩手・秋田県境の田沢湖線・赤渕~田沢湖間18.1km(現在の営業距離)を短絡するトンネルの構想。同区間にいまより約3km短い約15kmの短絡線を整備し、このうち約14kmがトンネル区間になる。想定される事業期間は着工より約11年、総事業費は約700億円。

完成した場合は約7分短縮され、東京~秋田間の所要時間は最短で約3時間30分に。長いトンネルを整備することで天候の影響を受けにくくなり、遅延の抑制にもつながる。秋田県によると、新仙岩トンネルの整備による経済波及効果は約1113億円という。

JR東日本と秋田県は今年2021年7月に新仙岩トンネルの実現に向け覚書を締結。JR東日本は総事業費の約6割(約420億円)までを負担する方針で、残りの約4割は国や秋田県などが負担するよう求めている。

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