東京メトロ「品川地下鉄」「有楽町線延伸」運転間隔は最短5分 事業基本計画など判明



東京メトロが3月28日に鉄道事業許可を受けた南北線の延伸区間(品川地下鉄)と有楽町線の延伸区間について、許可時点の計画供給輸送力などが5月6日までに鉄道プレスネットの調査で分かった。

延伸区間を走る南北線(左)と有楽町線(右)の列車のイメージ。【撮影:草町義和(左)・鉄道プレスネット(右)、加工:鉄道プレスネット】

東京メトロが国土交通大臣に提出した鉄道事業許可申請書の事業基本計画などによると、品川地下鉄と有楽町線延伸は両区間とも第1種鉄道事業(旅客運送)で普通鉄道の複線。動力は電気(直流1500V)、軌間は1067mmで、設計最高速度は80km/hとしている。

品川地下鉄

品川地下鉄は路線名が「7号線」、区間が品川駅(仮称、港区高輪4丁目)から白金高輪駅(港区白金1丁目)までで、距離は営業キロが2.8km、建設キロが2.5km。途中駅は設定されていない。設計通過トン数は2400万トン/年。各駅などの距離は次の通り。

鉄道事業許可申請起点・品川駅:0K000M000
鉄道事業許可申請終点・白金高輪駅:2K802M283

品川地下鉄の線路予測平面図。【資料:国土交通省】
品川地下鉄の線路予測縦断面図。【資料:国土交通省】

開業時の計画供給輸送力は23万5000人/日。運転間隔は5分で、8両編成(定員は1両150.25人、1編成1202人)を1日片方向で195回運転する。このうちラッシュ1時間は運転回数を12回とし、1万5000人の輸送力を確保する。輸送量や混雑率の想定は不明だが、最混雑の方向は品川→白金高輪で、ラッシュ1時間の集中率は20%とされている。品川~白金高輪間の所要時間は4分35秒。

品川地下鉄の事業にかかる総建設費(車両費を含む)は1309億9900万円。このうち約49%の636億2900万円は国庫補助(301億4000万円)と地方公共団体からの補助(334億8900万円)で賄い、残り約51%の673億7000万円は鉄道・運輸機構からの財政融資資金を使う。

損益は開業10年目の単年度黒字化と開業23年目の累積黒字化を想定。資金収支ベースでは開業29年目の単年度黒字化と開業40年目の累積黒字化を見込んでいる。

有楽町線延伸

有楽町線の延伸区間は路線名が「8号線」で、区間は豊洲駅(江東区豊洲3丁目)から住吉駅(江東区住吉2丁目)まで。距離は営業キロが5.2km、建設キロが4.8kmになる。途中、枝川駅(江東区枝川2丁目)と東陽町駅(江東区東陽町3丁目)、千石駅(江東区千石2丁目)の3駅が設けられる。途中3駅の駅名は事業基本計画ではいずれも仮称とされている。設計通過トン数は4300万トン/年。各駅などの距離は次の通り。

鉄道事業許可申請起点・豊洲駅:0K000M000
工事始点:0K235M000
枝川駅:1K250M000
東陽町駅:3K070M000
千石駅:4K180M000
工事終点:5K059M900
鉄道事業許可申請終点・住吉駅:5K180M000

有楽町線延伸区間の線路予測平面図。【資料:国土交通省】
有楽町線延伸区間の線路予測縦断面図(豊洲寄り)。【資料:国土交通省】
有楽町線延伸区間の線路予測縦断面図(住吉寄り)。【資料:国土交通省】

開業時の計画供給輸送力は22万8000人/日。運転間隔は朝ラッシュ5分、日中7分30秒、夕ラッシュ6分で、10両編成(定員は1両151.8人、1編成1518人)を1日片方向で150回(土休日は143回)運転する。このうちラッシュ1時間は運転回数を12回とし、1万9000人の輸送力を確保する。輸送量や混雑率の想定は不明だが、最混雑の区間・方向は枝川→豊洲で、ラッシュ1時間の集中率は20%とされている。豊洲~住吉間の所要時間は9分35秒。

有楽町線延伸事業にかかる資金総額は2689億8200万円。このうち約64%の1738億3200万円は国庫補助(601億6600万円)と地方公共団体からの補助(1136億6600万円)で賄う。残り約36%の951億5000万円は鉄道・運輸機構からの財政融資資金。

損益は開業14年目の単年度黒字化と開業29年目の累積黒字化を想定。資金収支ベースでは開業29年目の単年度黒字化と開業40年目の累積黒字化を見込んでいる。

開業予定時期は申請上、両区間とも特定の年度を設定しているようだが詳細は不明だ。東京メトロの従来の発表では2030年代半ばの開業予定としており、申請上は2034~2036年度頃を開業予定時期として設定しているとみられる。

鉄道事業許可の次は、詳細な工事計画を定めた工事施行認可の手続きになる。工事施行認可の申請期限は両区間とも2023年3月27日。鉄道事業許可の段階では大まかな計画で手続きされることが多いため、工事施行認可の手続きの過程で線路や駅の位置、距離などが大きく変わる可能性もある。

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