広島PASPY「2025年3月29日」終了 代替サービスは2024年6月以降



広島エリアの交通系ICカード「PASPY(パスピー)」の終了日が2025年3月29日に決まった。広島電鉄グループの鉄道・バス各社は代替サービスとして新しい乗車券システムを2024年7月から順次導入。アストラムラインを運営する広島高速交通も2024年6月から全国相互利用サービスに対応した交通系ICカードを導入する。2024年3月15日、関係各者が発表した。

PASPYのサービスを終了する広島電鉄の電車。【撮影:草町義和】

PASPYを導入しているバス事業者と広島電鉄の電車、航路・索道事業者は、原則として2025年3月29日にPASPYのサービスを終了する。PASPY定期券も通用期間が2025年3月29日を超えないように順次発売を終了。ただし一部の定期券は2025年4月28日まで通用する定期券をPASPYで発売し、2025年3月30日~4月28日の期間は乗務員への提示で利用できるようにする。

PASPYは2024年6月1日から2027年3月31日まで、デポジット(500円)も含め無手数料で払い戻しできる。ただしPASPY定期券はカード回収を伴う払い戻しのみ無手数料とし、定期部分のみ払い戻す場合は手数料を払う必要がある。

一部の事業者は2025年3月29日よりも前にPASPYのサービスを終了する。アストラムラインの場合、2024年5月31日をもってPASPYの発売と割引サービスを終了。2024年11月30日をもってPASPYのサービスを完全に終了する。PASPYの無手数料払い戻し期間はほかのPASPY事業者と同じで2024年6月1日から2027年3月31日まで。

広島電鉄と同社グループの公共交通は、代替サービスとしてスマートフォンとQRコードを活用した新しい乗車券システム「MOBILY DAYS(モビリーデイズ)」を導入する。まず2024年7月に「先行稼働」として、備北交通(一部路線を除く全線)と広島電鉄のバス(広島~三次・庄原・東城線)に導入。2024年9月からは「本番稼働」として広島電鉄の電車・バス(松江線・米子線を除く全線)と芸陽バス(全線)、備北交通(一部路線を除く全線)、HD西広島(全線)に導入する。

広島電鉄のバス。【撮影:草町義和】

2024年7月の先行稼働と2024年9月の本番稼働では、定期券(区間定期券・共通定期券・エリアフリー定期券)とチャージ(チャージ引き去り・定率割引・乗継割引・オートチャージ)のサービスを開始。このうちオートチャージはPASPYでは実施していない新サービスで、一定額を下回ると自動でチャージされる。

2025年3月には金額式定期券(バスのみ)と地域限定の運賃サービスを開始。いずれもPASPYでは実施していない新サービスだ。金額式定期券は乗車する金額を指定した定期券で、路線・区間を問わず金額内であれば乗車可能な定期券になる。地域限定の運賃サービスでは、マイナンバーカードなどと連携することで運賃割引などを行う。

電車での全扉乗降の拡大やバスでの中扉降車の実施、子供の利用促進のための乗車券の設定、ほかの電子マネーやQRコード決済との連携も今後検討する。

PASPYは別の交通系ICカードのエリアで利用することはできないが、全国相互利用サービスに対応した交通系ICカード(10カード)はPASPYエリアで利用できる。MOBILY DAYS導入エリアでは、JR西日本の交通系ICカード「ICOCA」の簡易型端末を導入。PASPY終了後の2025年3月30日以降も引き続き10カードを利用できる。ただし電車・バス車内でのチャージには対応しない。

一方、アストラムラインはMOBILY DAYSを導入せず、ICOCAを2024年6月1日に導入する。10カードの利用も可能。JR線とアストラムラインの連絡定期券もJR西日本がICOCAで発売する。連絡定期券の範囲は山陽本線・三原~岩国、可部線全線、呉線・海田市~広、芸備線・広島~狩留家の各駅とアストラムラインの各駅相互間。

アストラムラインはICOCAを導入する。【撮影:草町義和】

これ以外のPASPY導入事業者のなかには、MOBILY DAYSや別の交通系ICカードの導入について、導入の可否や導入スケジュールを明らかにしていない事業者もある。すでにPASPYのサービスを終了した事業者もあり、島根県益田市を中心とした路線バスを運行している石見交通は2023年3月にICOCAに移行した。

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