JR北海道が18駅廃止や減便、「電気式」新型気動車の導入拡大も 来春ダイヤ見直し



JR北海道は12月9日、来年2021年春に実施するダイヤ見直しの実施内容を発表した。2010年頃からの脱線火災事故や検査データのねつ造などの不祥事に端を発した経営悪化に加え、今年2020年の新型コロナウイルス感染拡大による利用者減少も踏まえ、経費節減を目的とした減量経営化を推進する。

宗谷本線などに導入される電気式気動車のH100形。【画像:もりみと/PIXTA】

列車の運転本数は利用者の減少に加え夜間作業時間の拡大を図るため、全体的に減らす。札幌~函館間の特急「北斗」の場合、定期列車の「北斗23・24号」の運転を取りやめ、「北斗5・14号」は閑散期の曜日に運休する。旭川~網走間の特急「大雪」は上下計4本すべて、閑散期の曜日(4・5・10・11月の火・水・木曜、年間50日程度)に運休する。

それ以外の列車の運転取りやめなどは次の通り。

●特急列車
札幌~函館:定期24本→定期20本(運転取りやめ2本、閑散期の曜日運休2本)
札幌~旭川:定期48本→定期44本(土休日等のみ運転4本)
旭川~網走:定期8本→定期4本(閑散期の曜日運休4本)
旭川~稚内:定期6本→定期4本(閑散期の曜日運休2本)

●快速・普通列車
札幌圏(快速「エアポート」):土休日運休6本
札幌圏(普通列車):運転取りやめ7本、土休日運休6本
札幌圏以外の普通列車:運転取りやめ13本

列車の車両数も減らす。「北斗」は現在7両編成だが、普通車指定席2両を減らして5両編成に。札幌~釧路間の特急「おおぞら」も現在の6両編成から普通車指定席1両を減らして5両編成にする。

老朽化したキハ40系気動車キハ40形を置き換えるため開発された普通列車用の新型車両「H100形」電気式気動車は、新たに30両を増備して導入路線を拡大。所要時間の短縮を図る。

室蘭本線では、苫小牧~室蘭間の66本中43本をH100形に置き換え、同区間の所要時間を最大11分、平均4分短縮する。東室蘭~長万部間では20本すべてをH100形に。短縮時間は最大11分、平均8分になる。

宗谷本線は、旭川~名寄間の37本中34本がH100形に代わり、最大31分、平均13分短縮される。石北本線の旭川~上川間は23本中2本にH100形が導入され、最大7分、平均5分の短縮になる。

列車の減便もほか、駅についても函館本線・宗谷本線・石北本線・釧網本線で、利用者の少ない合計18駅が廃止される。このうち12駅は宗谷本線の駅だ。H100形の導入による所要時間の短縮は、駅の廃止による効果も含まれている。このほか、宗谷本線の17駅と石北本線の1駅は、2021年度から管理費や人員を沿線自治体から提供してもらう駅に変わる。

廃止される駅は次の通り。

●函館本線(1駅)
伊納

●宗谷本線(12駅)
南比布・北比布・東六線・北剣淵・下士別・北星・南美深・紋穂内・豊清水・安牛・上幌延・徳満

●石北本線(4駅)
北日ノ出・将軍山・東雲・生野

●釧網本線(1駅)
南斜里

JR北海道は、このダイヤ見直しで約6億2000万円の経費節減が図られるとしている。