広島電鉄の新乗車券システム「MOBIRY DAYS」サービス開始少し前倒し



広島電鉄・日本電気・レシップの3社は10月23日、スマートフォンに表示させたQRコードなどで広島エリアの公共交通を利用できる新たな乗車券サービスを来年2024年9月に開始すると発表した。現行の交通系ICカード「PASPY(パスピー)」の事実上の代替となるもの。3社が共同で開発を進めている新乗車券システムを採用する。

広島電鉄の路面電車。【撮影:草町義和】

新たな乗車券サービスの名称は「MOBIRY DAYS(モビリーデイズ)」で、ロゴマークもあわせて発表された。デザインコンセプトは「移動する楽しさ」。3社によると、「移動」という言葉から着想した「陸」「空」「海」をそれぞれ柄で表現し、交通を連想させる青・黄・赤と中間色の紫の計4色でデザインしたという。

MOBIRY DAYSのロゴマーク。【画像:広島電鉄・日本電気・レシップ】

MOBIRY DAYSを利用する場合、あらかじめ自分のスマホやパソコンから会員登録を行う必要がある。会員登録の際、基本的にはクレジットカードか銀行口座の登録が必要だ。車両にはMOBIRY DAYS用の読取機(リーダー)を新たに設置。乗り降りの際、スマホに表示させたMOBIRY DAYSのQRコードをリーダーにかざすことで路面電車やバスを利用できる。

定期券の購入やチャージはMOBIRY DAYのスマホアプリや会員ウェブサイトで可能。窓口で手続きする必要はない。設定すればオートチャージ機能も利用できる。PASPYで展開している定率割引や乗継割引などのサービスを引き継ぐほか、金額式定期券や特定日割引、バスの全扉乗降など新しいサービスの導入も検討するという。

スマホアプリを使えば定期券を購入したりチャージしたりすることができる。【画像:広島電鉄・日本電気・レシップ】

スマホやパソコンを持っていない人やクレジットカード・銀行口座を持っていない人は、MOBIRY DAYSの取扱窓口で会員登録できる。また、QRコードを表示するためのスマホがない場合、専用のICカードを新たに発行する。

乗り降りの際はスマホ(左)にQRコードを表示させてリーダーにかざす。スマホがない場合は専用のICカード(右)を発行する。【画像:広島電鉄・日本電気・レシップ】

3社が共同開発している新乗車券システムはABT方式と呼ばれるもの。QRコードやICカードの固有ID番号とひも付いた利用者情報をクラウドサーバー側で管理し、チャージ残高や定期券などの利用者情報もクラウドサーバー側で保持する。

従来型のCBT方式はリーダーでICカードのID番号やチャージ残高などを読み取って運賃計算を行い、ICカードに更新情報を書き込む。ABT方式ではID番号の読み取りのみ行うため、CBT方式に比べシステム全体で低コスト化を図れるという。

3社は昨年2022年3月、ABT方式による新乗車券システムの共同開発について、2024年10月のサービス開始をめどに開発を進めるとしていた。今回の発表では2024年9月のサービス開始予定としており、少し前倒しされることになった。

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