JR西日本は3月29日、京阪神エリアの一部区間で設定している割安な「特定区間運賃」を一部見直すと発表した。来年2023年4月1日購入分から値上げする予定。
JR西日本が届出で設定している特定区間運賃は315区間。このうち34区間で、普通運賃とそれに基づき発売額を設定している通勤定期運賃を見直す。普通運賃は現行運賃に比べ数十円程度の値上げ。大阪~神戸間は40円値上げの450円になり、阪神線などの大阪梅田~高速神戸間と同額になる。大阪~京都間は見直しの区間に含まれていない。
このほか、65区間では6カ月の通勤定期運賃のみ見直す。6カ月通勤定期運賃は旧・国有鉄道運賃法に基つき設定されJR西日本が継承しているが、定期運賃の一般的な割引水準にする。大阪~京都間の場合、現行の8万780円から4540円値上げの8万5320円になる。
通学定期運賃はすべての特定運賃区間で据え置く。
関西圏のJR主要路線の多くは国鉄時代から私鉄線が並行しており、運賃の安い私鉄線が競争面で優位に立っていた。このため国鉄は、私鉄線と競合する区間で所定の運賃より安くし、私鉄との価格差を抑える特定区間運賃を設定。国鉄分割民営化で1987年に発足したJR西日本も特定区間運賃の設定を引き継いだ。いまでは特定区間運賃の設定によりJRのほうが並行する私鉄より安い区間もある。
JR西日本によると、消費税の改定を除いて運賃改定を行っておらず、設定当初からの運賃水準を維持してきたが「新型コロナウイルス感染症の影響による厳しい経営状況の長期化や市場環境の変化」を受け、特定区間運賃を見直すことにしたという。
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