大井川鉄道(静岡県)は災害で大きな被害を受けた静岡・九州のローカル鉄道をめぐる応援ツアーを企画した。9月22~24日の2泊3日で静岡発着。
1日目は静岡で大井川鉄道のSL列車に乗車したのち、フジドリームエアラインズ(FDA)の飛行機で熊本に移動する。2日目は南阿蘇鉄道(熊本県)のトロッコ列車と、くま川鉄道(熊本県)の列車に乗車。さらに貸切バスに乗ってくま川鉄道の被災現場を車窓から見学する。3日目はJR九州の肥薩線(熊本県・宮崎県・鹿児島県)に乗車。嘉例川駅に残る築100年以上の木造駅舎を見学する。
大井川鉄道「名物広報」の山本豊福さんが全行程に同行。くま川鉄道では永江友二社長が被災場所を案内し、路線解説や復旧にあたっての話を聞く。旅行代金は9万8000円。大井川鉄道グループの大鉄アドバンスのツアー予約サイトで申込みを受け付けている。
このツアーでめぐる4社線は、いずれも利用者が少なく存廃が取りざたされることが多いローカル鉄道。災害の影響で一部区間が運休している。
南阿蘇鉄道は2016年、熊本地震で橋梁の破損などの被害が発生し、立野~中松の区間が運休中。2020年7月の豪雨でも九州南部の鉄道で大きな被害が発生し、肥薩線・八代~吉松とくま川鉄道・人吉温泉~肥後西村が運休している。昨年2022年9月には台風15号で大井川鉄道が被災し、大井川本線・家山~千頭が運休中だ。
南阿蘇鉄道は上下分離方式の導入により復旧が決まり、今年2023年7月15日に全線再開の予定。今回のツアーでは全線再開後の乗車になる。くま川鉄道も上下分離方式を導入して2025年頃に全線再開の見込みだ。一方、大井川本線と肥薩線は復旧事業に着手しておらず、再開のめどは立っていない。
大井川鉄道は「自社を含む被災してしまった鉄道事業者を訪問することで少しでも復旧に向けた応援をしたい、また応援していただきたいという思い」から今回のツアーを企画したとしている。
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