JR四国と徳島バス「同じ路線」扱いに 牟岐線の一部、JRの切符で高速バスに乗車可能



JR四国と徳島バスは3月3日、国土交通大臣に「共同経営計画」の認可を申請した。認可された場合、4月1日に実施。並行する鉄道・バスを営業上は実質「同じ路線」として取り扱い、JRの切符でバスに乗れるようにする。

牟岐線の日和佐駅。【撮影:草町義和】

共同経営計画の対象区域は、JR牟岐線の阿南~浅川間と、同区間で並行して運行されている徳島バスの高速バス「室戸・生見・阿南大阪線」の阿南駅~浅川間。対応する駅・停留所は次の通り。

駅:阿南-バス:阿南駅
駅:阿波橘-バス:橘営業所
駅:由岐-バス:由岐
駅:日和佐-バス:日和佐
駅:牟岐-バス:牟岐
駅:浅川-バス:浅川

共同経営計画の対象区域。【画像:JR四国・徳島バス】

この区間では、JRの乗車券や定期券で高速バスの途中乗降による利用が可能に。阿南駅で牟岐線と高速バスを乗り継ぐ場合、JRの通し運賃を適用する。有効区間は対象駅に対応する停留所になる。

阿南~牟岐間の運賃は現在、JR乗車券が970円で、高速バスは1100円。共同経営計画の実施後はJR・高速バスともにJRの切符で利用できるようになるため、高速バスは実質130円の値下げになる。

JRと高速バスを乗り継いで徳島~(JR)~阿南~(高速バス)~牟岐間を移動する場合、現在は徳島~阿南間のJR運賃(560円)と阿南~牟岐間の高速バス運賃(1100円)をそれぞれ支払う必要があり、合計1660円。共同経営計画の実施後は徳島~牟岐間のJR乗車券(1470円)でそのまま利用できるため、実質190円の値下げだ。

JR四国と徳島バスは2019年3月、鉄道と高速バスの連携を実施。牟岐線の列車を阿南以南で減便する一方、同線に並行して走る徳島バスの室戸・生見・阿南大阪線を阿南駅で乗り継ぎできるようにして、牟岐線の減便を補う形にした。ただし運賃体系はJRとバスで分かれているため、鉄道とバスを乗り継ぐ場合は鉄道で直通する場合に比べ、運賃が高くなるなどの課題を残していた。

交通事業者どうしで運賃を調整する行為は「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」(独占禁止法)で規制されている。2020年11月27日、規制緩和の特例法「地域における一般乗合旅客自動車運送事業及び銀行業に係る基盤的なサービスの提供の維持を図るための私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の特例に関する法律」が施行。共同経営計画の認可を受ければ、共同でダイヤを設定したり運賃を定めたりすることが可能になった。

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