JR東日本「オフピーク定期券」来年3月導入へ ピーク避ければ10%の値下げに



JR東日本は9月16日、通勤定期運賃の変更認可を国土交通大臣に申請した。認可された場合、来年2023年3月に値上げする。同時に現在の通勤定期券より安い「オフピーク定期券」を新たに設定する計画。利用できる時間帯を制限することで通常の通勤定期券より値下げし、コロナ禍での「3密回避」やラッシュ時の混雑緩和を目指す。

中央線の快速列車。【撮影:草町義和】

通勤定期運賃はIC・磁気券ともに、東京の電車特定区間内で約1.4%値上げした額を申請。これに鉄道駅バリアフリー料金(1カ月280円・3カ月790円・6カ月1420円)を加算した金額が発売額になる。現在の通勤定期券と同様、終日利用できる。

オフピーク定期運賃は東京の電車特定区間内で完結する区間で設定。全体で現在の通勤定期券より約10%値下げし、これに鉄道駅バリアフリー料金を加算した額が発売額になる。平日朝のピーク時間帯を除く時間帯(オフピーク時間帯)のみ利用できる。

ピーク時間帯・オフピーク時間帯の判定は入場時に行い、オフピーク定期券でピーク時間帯の入場と判定された場合はIC普通運賃を別途払う必要がある。各駅のピーク時間帯は現在実施されている「オフピークポイントサービス」のピーク時間帯を基本に設定される予定だ。

オフピーク定期券と通常の定期券の違い。【画像:JR東日本】
オフピーク定期券の設定エリア(東京電車特定区間)。【画像:JR東日本】
定期券の改定後の変更点。【画像:JR東日本】

中央線・東京~三鷹24.1km(25kmの距離帯)の場合、現在の通勤定期券は1カ月で1万1850円。6カ月では5万6910円だ。改定後(バリアフリー料金加算後)は1カ月が1万2290円で440円の値上げ。6カ月なら2210円値上げの5万9120円になる。一方、オフピーク定期券なら1カ月が1万940円でいまより910円の値下げ。6カ月なら5万2630円で4280円の値下げだ。

通勤定期券・オフピーク定期券の発売額(1~50kmまで、改定後はバリアフリー料金加算)。【画像:JR東日本】

オフピーク定期券の設定は「Suica通勤定期券」のみで磁気式の定期券では発売されない。JR東日本線と私鉄・地下鉄線にまたがる「Suica通勤定期券」でもJR東日本線の設定区間内であればオフピーク定期券を選択できるようにする予定という。

通学定期券はオフピーク定期券を設定しないが現在の運賃を据え置く。グリーン定期券と「FREX」(東京~大宮や東京~新横浜など)もオフピーク定期券を設定しないが、発売額は所定の通勤定期運賃と料金相当額の合算のため、通常の通勤定期運賃と同様に値上げされる。「FREXパル」は通学定期券と同じで価格の変更はない。

JR東日本は3月、国土交通省の有識者小委員会でオフピーク通勤定期券の導入の意向を明らかにしていた。同社は現在の通勤定期券の値上げと発売額を抑えたオフピーク通勤定期券の新設により「全体として増収とならないという想定のもと定期運賃に価格差を設け、これによる『オフピーク通勤』の促進を通じてご利用の平準化と混雑緩和に取り組んでまいりたい」としている。

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