JR東日本の東京圏「10円値上げ」バリアフリー料金加算でホームドアなど整備を加速



JR東日本は4月5日、国が創設した「鉄道駅バリアフリー料金制度」を導入すると発表した。国土交通大臣に同日、料金設定と整備計画を届け出た。実質的に運賃を値上げしてホームドアやエレベーター、スロープなどの整備費の一部を確保し、駅のバリアフリー化を加速させる。

品川ゲートウェイ駅のホームドア。【撮影:草町義和】

東京の電車特定区間のみ利用する場合、運賃に鉄道駅バリアフリー料金を加算する。加算額は普通旅客運賃が切符・ICとも10円。定期旅客運賃は現在の定期運賃の平均割引率により設定し、通勤定期は1カ月280円・3カ月790円・6カ月1420円が加算される。通学定期には加算しない。子供は料金加算後の大人運賃の半額になる。

料金の徴収開始は来年2023年3月頃の予定。徴収期間は2036年3月までの13年間としているが、JR東日本は2036年度以降も徴収を継続する予定としている。加算料金の年間徴収額は230億円の見込み。13年間の総徴収額は2990億円になる見込みだ。

バリアフリー料金が加算される東京電車特定区間。【画像:JR東日本】

この計画に基づく整備方針では、東京の電車特定区間内の駅でホームドア591番線分を整備。エレベーターやスロープも整備して段差の解消を図るほか、ホームと車両の段差・隙間の縮小に役立つ設備、バリアフリートイレなどの整備を推進する。総整備費は5900億5300万円で、このうち半分ほどをバリアフリー料金で賄うことになる。

JR東日本はこれまで、東京圏の在来線のうちおもな路線の243駅(線区ベース330駅)について、2032年度末頃を目標におもな線路の660番線にホームドアを優先的に整備することを計画していた。今回、バリアフリー料金制度の活用により従来計画より約100番線多い758駅にホームドアを整備することとし、整備時期も1年前倒して2031年度末頃までの整備を目指す計画に変更する。

今後は2021年度までに線区単位の92駅183番線でホームドアを整備。2022年度は京浜東北線の日暮里駅や中央・総武緩行線の飯田橋駅、南武線の武蔵溝ノ口・登戸・府中本町・谷保・立川各駅の7駅14番線でホームドアの使用開始を予定している。ただしJR東日本は世界的な半導体不足の影響で使用開始時期が変更になる場合もあるとしている。

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