鉄道「バリアフリー化料金」運賃上乗せが可能に 省令改正、整備費の補助率も拡充



鉄道事業法の下位省令の改正が12月28日付けで公布され、即日施行された。鉄道駅のバリアフリー化を促進するため、バリアフリー設備の整備費を運賃に上乗せする。

東京メトロの赤坂見附駅と永田町駅の連絡通路に整備されたバリアフリー設備の斜行エレベーター。【撮影:草町義和】

改正されたのは鉄道事業法第16条第4項に基づく同法施行規則第34条。法第16条第4項では、運賃とは別に支払う料金について、国土交通大臣に届け出なければならないと定めており、届出が必要な料金の具体的な内容を施行規則第34条で列挙している。

12月28日の改正では、施行規則第34条が定める料金に「利用者の円滑な移動及び施設の利用のために設けられる設備による安全かつ円滑な運送の確保に係る料金」を追加。これにより鉄道事業者は、バリアフリー設備の整備費を運賃に上乗せできるようになった。

このほか、路面電車などを経営する軌道事業者に適用される軌道法施行規則の第21条も12月28日付けで改正され、同様の規定が盛り込まれた。

鉄道駅のバリアフリー化は昨年2020年12月、エレベーターなどの整備対象駅の拡大やホームドア整備の加速化の方針を盛り込んだ新たな整備目標が公表された。国土交通省は新しい整備目標を達成するための施策を検討していた。

国交省の鉄道局は今年2021年12月24日、バリアフリー設備の整備費を運賃に上乗せする制度の創設を発表。同時に地方部での支援措置の重点化も発表し、整備費の補助率を現行の最大3分の1から最大2分の1に拡充するとした。

国交省はバリアフリー化の費用を旅客から料金として徴収する制度を創設することについて、エレベーターやエスカレーター、ホームドアなどの整備は「高齢者や障害者だけでなく、全ての利用者が受益する」との観点から構築するものとしている。

国交省は今後、都市部でバリアフリー設備整備費の運賃上乗せを図るとともに、地方部ではバリアフリー予算の重点化を図り、全国の鉄道駅のバリアフリー化を加速させる方針だ。

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