遠州鉄道「39年ぶり」運賃改定を申請 来年2月から値上げ



遠州鉄道(静岡県)は9月29日、国土交通省の中部運輸局に鉄道事業の旅客運賃上限変更の認可を申請したと発表した。認可された場合、来年2022年2月1日に運賃を値上げする。消費税率の変更に伴うものを除くと、運賃の値上げは1983年2月以来、39年ぶり。

遠州鉄道の列車。【撮影:草町義和】

改定率は全体で3.9%。普通旅客運賃の上限は初乗り運賃(0.0~4.0km)を現行より20円高い140円に。4.1~8.0kmは各距離帯とも10円値上げする。8.1km以上の区間は据え置く。

定期旅客運賃の上限も0.0~8.0kmの距離帯のみ値上げ。大人通勤1カ月の場合、0.0~3.0kmはいまより880円高い5760円に。7.1~8.0kmは440円高い1万650円になる。上限の範囲内で実際に適用する運賃(実施運賃)は、上限運賃と同額で設定する予定だ。

遠州鉄道によると、同社の鉄道線の輸送人員は1967年度のピーク時以降、一時は7割まで減少したが、線路の高架化や輸送の安全対策の継続、業務組織の効率化や旅客サービスの改善により、30年以上にわたって運賃水準を変更せず事業を継続してきた。

しかし、線路の高架化に伴う償却費や維持管理費の負担に加え、2011年から耐震補強工事が継続中。本年度2021年度から始まった八幡駅などのバリアフリー改修や定期的な車両更新などもあり、「これまで以上に多額の投資案件を実行していく必要」がある。

その一方、新型コロナウィルス感染症によりテレワークやリモート会議が定着することで、利用人員が急速に減少。これに加えて人口減少も進行することから、利用者数の今後の推移は「一層不透明な状況」に置かれているという。遠州鉄道はこうした状況を受け、39年ぶりに運賃の値上げを申請したとしている。

《遠州鉄道》
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