南武線・矢向~武蔵小杉「高架化」2039年度の完成目指す 「開かずの踏切」先に解消



川崎市はJR南武線・矢向~武蔵小杉間の約4.5kmを高架化する連続立体交差事業(連立事業)について、今後の具体的なスケジュールなどを明らかにした。来年度2022年度から都市計画などの手続きを進め、2039年度の完成を目指す。

南武線の平間駅近くにある踏切。【撮影:草町義和】

3月17・18日に実施した一般向け説明会で明らかにした。2022年度からは、都市計画決定に向けた取組として概略設計や環境影響評価、用地測量を実施。2023年度末の都市計画決定を目指す。

2024年度には事業認可を受けて事業に着手する。事業期間は16年の予定。最初の5年間で工事に必要な用地を取得する。用地取得6年目の2029年度に着工し、まず下り線の高架工事を実施。2033年度には下り線を高架に切り替える。

これにより事業区間内にある9カ所の踏切は上り線だけに。踏切を通る列車が減るため、各踏切の「開かずの踏切」(ピーク1時間の遮断時間が40分以上の踏切)状態も解消されるとみられる。その後、上り線の高架工事を実施して踏切を完全に解消。2039年度の完成を目指す。

南武線の川崎~武蔵小杉間。尻手~武蔵小杉間の高架化が計画されており、このうち川崎市域の矢向~武蔵小杉間(赤)が高架化に向け動き出している。【画像:国土地理院地図、加工:鉄道プレスネット】

南武線は横浜市域の尻手~矢向間でも連立事業の実施が計画されている。横浜市は「南武線を高架化しても貨物線(短絡線)の踏切が残ること等の課題もあり、横浜市域内の事業の効果や有効性を見極めているところ」「川崎市が進める連続立体交差事業等の動向を勘案しながら、総合的に検討」するとしており、具体化に向けた本格的な動きはみられない。

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