えちぜん鉄道は12月7日、北陸新幹線・金沢~敦賀の延伸開業と同日の来年2024年3月16日に運賃を値上げすると発表した。消費税率の引き上げによるものを除くと、値上げは京福電鉄から鉄道路線を譲り受けて開業した2003年以来初めて。
えちぜん鉄道は現在、認可された運賃の上限額(上限運賃)より安い運賃(実施運賃)を設定しており、今回の運賃改定も現行の上限運賃の範囲内で値上げする。普通旅客運賃の改定率は10.3%。初乗り(2kmまで)は現行160円のところ20円値上げして180円とし、それ以外の距離帯も20~50円値上げする。特定区間は所定運賃より安く設定されているため距離に応じて調整する。
定期旅客運賃は通勤定期が普通旅客運賃の改定に準じて既存の割引率で改定。改定率は10.5%になる。通学定期の改定率は5.7%。割引率を変更することで値上げ率を通勤定期の半分になるよう抑えた。このほか、「一日フリーきっぷ」(現行1000円、改定後1200円)など企画乗車券も100~500円値上げする。
えちぜん鉄道と相互直通運転を実施している福井鉄道も2024年3月16日に運賃を値上げする。同社は今年2023年6月に鉄軌道事業の旅客運賃上限変更認可を申請し、11月27日に認可。実施運賃を12月5日に届け出た。改定率は上限運賃で普通旅客運賃17.6%、通勤定期15.0%、通学定期14.8%で全体の平均は16.5%。実施運賃は普通旅客運賃14.1%、通勤定期11.1%、通学定期9%で全体の平均を12.4%とし、値上げ幅を上限額より抑える。
普通旅客運賃は、鉄道の初乗り(2kmまで)が現行180円のところ30円値上げの210円。鉄道の2.1~18km区間は現行230~400円のところ260~450円に値上げする。軌道は均一区間が現行160円から20円値上げの180円。鉄軌道連絡運賃は現行230~400円の区間で260~450円に値上げする。特定区間は380円を450円、400円を450円にそれぞれ値上げする。
福井鉄道~えちぜん鉄道の乗継運賃も値上げされ、たけふ新(福井鉄道)~三国港(えちぜん鉄道)では90円値上げの1110円になる。
えちぜん鉄道は値上げの理由として電気代や資材価格の高騰、人員確保のための賃上げへの対応を挙げた。福井鉄道もコロナ禍による利用者減少からの回復が進まないなか、電気代や資機材の高騰、乗務員など人員不足解消のための賃金水準の確保を挙げている。
福井県内ではこのほか、JR西日本が北陸新幹線の敦賀延伸開業にあわせて並行在来線の北陸本線・敦賀~大聖寺の経営をハピラインふくいに移管。実質値上げされる。
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