南武線・矢向~武蔵小杉「高架化」用地買収は2024年度から 川崎市が方針



川崎市は2月9日までに、JR南武線・矢向~武蔵小杉間の線路を高架化して踏切を解消する連続立体交差事業(連立事業)について、2024年度から用地買収を始める考えを明らかにした。

高架化が計画されている区間内にある平間駅前の踏切。【撮影:草町義和】

この連立事業は川崎市総合計画第2期実施計画(2018年3月)で2020年度に都市計画を決定するとしていたが、コロナ禍を受け2021年1月に見送りを決定。その後、計画の再検討を実施し、従来計画の仮線高架工法を別線高架工法に変更する方針が固まっていた。

川崎市は今年2022年1月31日から、おもに沿線在住の地権者向けの説明会を実施し、工事方法の変更などを説明。今後のスケジュールについては、来年度2022年度から概略設計や環境影響評価、用地測量を行い、都市計画決定と事業認可を経て、2024年度から用地買収に入る考えを明らかにした。

従来の仮線高架工法では、現在の地上線路と同じ位置に高さ約11mの高架橋を整備。西側に仮設の地上線路(仮線)を設けて現在の地上線路を仮線に移設し、それにより空いたスペースに高架橋を建設する。高架化後は仮線のスペースに幅15mの都市計画道路を整備する計画だった。

仮線高架工法から別線高架工法への変更点。【画像:川崎市】
別線高架工法(左)と仮線高架工法(右)の横断面図。別線高架工法は仮線高架工法に比べ線路の切替数が少なく工期短縮や事業費削減などのメリットがあるとされる。【画像:川崎市】

別線高架工法では、高架橋の位置を西側に5m程度(駅部は10m程度)移動するほか、高さも3mほど低い約8mに。仮線を設けることなく下り線を高架化し、続いて上り線を高架化する。これにより西側の都市計画道路は幅10mに縮小。一方で高架橋の東側には幅5mの自転車・歩行者道路を新設する。「開かずの踏切」解消までの期間は仮線高架工法より約6年短縮され、事業期間も約5年短縮。事業費は約200億円減るという。

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