『時刻表復刻版』第9弾は「いわくつき表紙」東北・上越新幹線の上野乗り入れ号



JTBパブリッシングは6月21日、時刻表復刻版シリーズの第9弾『時刻表復刻版 1985年3月号』を発売する。B5判で2310円。

『時刻表復刻版 1985年3月号』のイメージ。【画像:JTBパブリッシング】

『JTB時刻表』の前身である『国鉄監修 交通公社の時刻表』の1985年3月号を、広告を除きそのまま掲載している。表紙も当時そのままのデザインで再現しており、カバーを付けて資料として保存しやすい仕様にしたという。『JTB時刻表』元編集長の木村嘉男さんが注目ポイントを解説している。

1985年3月は、建設反対運動の影響で大宮以北のみ暫定開業していた東北・上越新幹線が東京都心の上野駅にようやく乗り入れた。1985年3月号は、これに伴い同月14日に実施された国鉄ダイヤ改正の時刻を収録している。

1985年3月号は、当時の東北・上越新幹線で運用されていた200系電車の表紙写真が「いわくつき」だったことでも知られる。

『朝日新聞』1985年3月28・29日東京朝刊によると、この写真は東北・上越新幹線の高架橋の東側にある、大宮電報電話局東大成分局ビル(現在のNTT東日本・東大成ビル)から撮影したもの。表紙の左下には「上野に向かう『やまびこ号』」との説明書きがあるほか、ライトの色が編成最後部を示す赤ではないことから、上り列車の編成先頭を捉えた写真のように思える。

しかし、列車が走っている線路は下り線で、実際には下り列車の最後部を捉えた写真ではないかという「疑惑」が浮上。さらに最後部ならライトが赤いはずなのに赤くなっておらず、ライトの形状にも不自然なゆがみがあることから、ライトの部分を入れ替えた合成写真の疑いも持ち上がった。

こうした指摘を受け、当時の時刻表編集部は表紙写真は実際には下り列車で、ライトも編集部が「手直し」したことを認めたという。

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