イギリス旅行大手「トーマス・クック」破綻 鉄道の時刻表は別会社で継続発売中



イギリスの大手旅行会社「トーマス・クック・グループ」は9月23日、ロンドンの裁判所に破産を申請した。イギリス政府は同社のツアーを使って国外旅行中の15万人以上を無料で帰国させるための手続きを行う。

トーマス・クック社は180年近い歴史を持つ老舗の旅行会社。近年はネット上の旅行予約サイトや格安航空会社などとの激しい競争にさらされ、旅行者が旅行会社を使わずに旅行を計画するようになったこともあって厳しい経営が続いていた。これに加え、海外の政情不安やイギリスの欧州連合(EU)離脱の動きで業績が悪化していた。

日本では『トーマスクック ヨーロッパ鉄道時刻表』の発売元としても知られていた。創刊は1873年。1977年に時刻表の掲載範囲を全世界に拡大し、1981年にはヨーロッパ版とヨーロッパ以外の海外版に分離した。ヨーロッパ版を日本人向けに編集し直した時刻表も1985年からダイヤモンド・ビッグ社より発売されていた。

2013年にはトーマス・クック社が出版事業から撤退しため廃刊したが、時刻表の編集部員が出版会社「ヨーロピアン・レール・タイムテーブル」(ERT)を新たに立ち上げ、トーマス・クック社から出版権を譲り受けて2014年から『ヨーロッパ鉄道時刻表』として創刊した。ダイヤモンド・ビッグ社も現在はERTの『ヨーロッパ鉄道時刻表』を再編集した日本人向け時刻表を発売している。

ERTはトーマス・クック社の経営破綻について、公式ツイッターで「とても悲しい。トーマス・クックがなければERTは存在しなかった」とコメントした。

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