北陸本線・武生~王子保「新駅」1年前倒し、経営分離後すぐ着工へ 通学利用見込む



福井県は6月20日、北陸本線・武生~王子保で計画している新駅(越前市)について、工事の着手を当初の想定より1年前倒しする考えを明らかにした。同日開かれた福井県議会の本会議一般質問で地域戦略部の吉川幸文部長が答えた。

JRから経営分離される北陸本線の福井駅。【撮影:草町義和】

JR西日本が運営する北陸本線の福井県内は、北陸新幹線・金沢~敦賀の延伸開業(2024年春)にあわせ経営分離され、第三セクターのハピラインふくい(現在の福井県並行在来線準備)が引き継ぐ。経営分離後の利便性向上策として、武生~王子保の中間に新駅を設けることが計画された。

吉川部長によると、新駅の整備についてJRはこれまで「(経営分離後の第三セクターが)実施主体となって取り組むものであり、加えて特急などの運行本数が多い現状では工事に伴う危険もあるため困難」とし、早期着工に難色を示していた。

しかし「新駅設置は新規利用者を獲得するには大変有効な手段」(吉川部長)としてJRと交渉を重ねたところ、当初の想定より1年早く工事に着手できる見込みになったという。福井県はこれまで2024年度に詳細設計を実施する考えだったが、これを2023年度に前倒しして経営移管後すぐに工事に着手する方針だ。

整備新幹線の並行在来線の経営分離を機に計画された新駅は経営分離後に詳細設計を行って事業に着手し、開業は経営分離の数年後になることが多い。新潟県内の北陸新幹線の並行在来線を運営するえちごトキめき鉄道のえちご押上ひすい海岸駅(新潟県糸魚川市)の場合、経営分離から4年後の2019年9月に国の認可を受け、6年後の2021年3月に開業した。経営分離後すぐに着工するのは異例だ。

北陸本線・武生~王子保の新駅の位置。【画像:国土地理院地図、加工:鉄道プレスネット】

武生~王子保の新駅は越前警察署南交番付近に整備する計画。近くには武生商工高校があり、1日200人以上の高校生の通学利用が見込まれる。隣接駅からの距離は武生駅から約1.7kmで王子保駅からは約2.6kmになるとみられる。北陸本線の福井県内区間ではこのほか、福井~森田と鯖江~武生の2区間でも新駅の検討が行われている。

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