あの鉄道の高架化・地下化いつ完成? 全国各地で進む「連立事業」一覧



線路を連続的に高架化、地下化して道路との平面交差(踏切)を解消し、道路混雑の緩和や分断された市街地の一体化を行う「連続立体交差事業」(連立事業)。新線の建設と異なり、沿線が発展した都市部の既設線に隣接して高架橋や地下トンネルを建設することになるため、工事はなかなか進まない。

それでも各地で連立事業が行われており、そのなかには完成のめどが立っているものもいくつかある。現在事業実施中のおもな連立事業は次の通り(2021年1月8日時点、オレンジ色は高架化または地下化の部分)。

■埼玉県

●東武鉄道 伊勢崎線(東武スカイツリーライン)・野田線(東武アーバンパークライン)

一ノ割…=春日部=…北春日部 約1.4km
八木崎…=春日部=…藤の牛島 約1.5km

高架化後の春日部駅のイメージ。【画像:春日部市】

春日部市内にある春日部駅とその前後の線路を高架化し、10カ所の踏切を解消する。本格的な用地買収や工事はまだ始まっていない。事業施行期間は2032年3月1日まで。

■千葉県

●東武鉄道 野田線(東武アーバンパークライン)

清水公園…=愛宕=野田市=…梅郷 約2.9km

野田市駅の高架橋。【撮影:鉄道プレスネット編集部】

愛宕・野田市の両駅を含む野田市内の線路を高架化し、踏切11カ所を解消する。高架橋や高架駅の工事は終盤を迎えており、本年度2020年度末には踏切が解消される予定。2023年度の中頃には野田市駅の高架橋が拡張されてホームが増え、2023年度末には付帯工事なども含め事業が完了する予定だ。

■東京都

●東武鉄道 伊勢崎線(東武スカイツリーライン)

とうきょうスカイツリー=…曳舟 約0.9km

2019年12月に行われた仮線への線路切替作業。【撮影:鉄道プレスネット編集部】

墨田区内のとうきょうスカイツリー駅とその東側の線路を高架化し、踏切1カ所を解消。とうきょうスカイツリー駅のホームは現在地より東寄りへ約150m移設され、同駅北側にある留置線も高架化される。仮線への切替が完了し、高架橋の工事が本格化に始まっている。事業施行期間は2025年3月31日まで。

●東武鉄道 伊勢崎線(東武スカイツリーライン)

西新井…=竹ノ塚=…谷塚 約1.7km

高架化工事が進む竹ノ塚駅付近。【撮影:鉄道プレスネット編集部】

足立区内の竹ノ塚駅とその前後の線路を高架化し、踏切2カ所を解消する。事業施行期間は2024年3月31日まで。ここは複線の緩行線と急行線で構成される複々線だが、昨年2020年9月までに急行線の高架化が完了した。地中に想定外の鉄板が埋まっていたため工事が遅れたが、2022年3月には緩行線も高架化される予定だ。

●京成電鉄 押上線

四ツ木…=京成立石=…青砥 約2.2km

京成押上線の四ツ木~京成立石間。仮線の工事が進んでいる。【撮影:草町義和】

京成立石駅を含む葛飾区内の線路を高架化し、踏切11カ所を解消する。現在は高架橋を建設するための敷地を確保するため仮線の工事が進められている。事業施行期間は2023年3月31日までとされているが、工事範囲の商業施設などの立ち退きが遅れており、事業完了は2027年度末になる見込みだ。

●JR東日本 赤羽線(埼京線)

板橋…=十条=…赤羽 約1.5km

十条駅とその前後の線路を高架化し、6カ所の踏切を解消するもの。昨年2020年に事業認可を受けたばかりで、用地買収や工事は始まっていない。事業施行期間は2031年3月31日まで。

●西武鉄道 新宿線

中井…=新井薬師前=沼袋=…野方 約2.4km

新井薬師前・沼袋の両駅を含む中野区内の線路を地下化し、踏切7カ所を解消する。地下掘削時に地上の線路を支えるための杭(くい)の設置や桁の架設に向けた準備工事が行われているが、地下の掘削はまだ始まっていない。用地確保の難航で工事は当初の計画より遅れている。事業施行期間は2027年3月31日まで。

●西武鉄道 新宿線・国分寺線・西武園線

久米川…=東村山=…所沢 約2.3km
小川…=東村山 約0.8km
東村山=…西武園 約1.4km

線路の直上に姿を現した東村山駅の高架橋。【撮影:草町義和】

東村山市内の東村山駅とその前後の線路を高架化し、踏切5カ所を解消する。東村山駅構内では従来の橋上駅舎の撤去が進み、新しい高架駅の路盤が姿を見せている。このほか、駅の前後でも仮線の工事などが進んでいる。事業施行期間は2025年3月31日まで。

●京王電鉄 京王線

笹塚…=代田橋=明大前=下高井戸=桜上水=上北沢=八幡山=芦花公園=千歳烏山=…仙川 約7.1km

世田谷・渋谷区・杉並3区内の線路を高架と掘割で立体化し、25カ所の踏切を解消するとともに、八幡山駅を除く途中7駅を高架化(八幡山駅は高架化済み)する。事業施行期間は2023年3月31日までとされているが、工事の進ちょくは遅く微妙な情勢だ。

●京浜急行電鉄(京急電鉄) 本線

泉岳寺…=品川(※地上化)=北品川=…新馬場 約1.7km

品川区内の北品川駅付近の線路を高架化して、3カ所の踏切を解消する。同時に港区内の品川駅付近は引上線も含め高架線路を地上に下ろし、駅のホームを現在の2面3線から2面4線に増強する。昨年2020年に事業認可を受けたばかり。事業施行期間は2030年3月31日まで。

高架化で解消される品川~北品川間の踏切。【画像:東京都】

■神奈川県

●京浜急行電鉄(京急電鉄) 大師線

鈴木町…=川崎大師=東門前

京急電鉄の大師線の連立事業は当初、同線の全区間を地下化することが考えられていたが、大幅なルート変更を伴う京急川崎~川崎大師間(2期区間)は中止に。川崎大師~東門前~小島新田間(1期区間)は継続し、このうち東門前~小島新田間の地下化が2019年3月に完成した。

1期区間のうち残る川崎大師~東門前間の事業施行期間は2025年3月31日まで。2期区間が中止になったため、現在の鈴木町駅と1期区間の川崎大師駅を接続する部分とあわせて工事することになっているが、鈴木町~川崎大師間の都市計画は決定していない。

■新潟県

●JR東日本 越後線・信越本線・白新線

白山…=新潟=…上沼垂(信)…越後石山・東新潟 約2.5km

新潟市内の新潟駅とその前後の線路を高架化し、2カ所の踏切を解消するもの。新潟駅の高架ホームは2018年に2~5番線の使用を開始し、残る1番線ホームは2021年度中に完了する予定。その後、仮設ホームの撤去や高架駅下のバスターミナルなどが整備される。

■富山県

●富山地方鉄道(富山地鉄) 本線

電鉄富山=…稲荷町 約1.0km

現在の電鉄富山駅。【撮影:草町義和】

富山市内のJR西日本・あいの風とやま鉄道の富山駅付近と富山地鉄の電鉄富山駅付近を高架化する連立事業だが、富山駅付近の高架化は完了しており、残りは富山地鉄の電鉄富山駅付近のみ。近いうちに仮線の工事が始まる見込みで、富山地鉄は2026年頃の高架化完成を目指している。

■静岡県

●JR東海 東海道本線・御殿場線

三島…=沼津=…片浜 約3.7km
大岡…=沼津 約1.6km

沼津駅の南口。【画像:源五郎/写真AC】

沼津市内の沼津駅とその前後の線路を高架化し、踏切13カ所を解消するもの。沼津駅に隣接する車両基地や貨物駅機能の移転も含まれる。都市計画法による事業認可上の事業施行期間は2022年度だが、貨物駅の移転先用地の買収難航などのため、本格的な工事は始まっていない。2016年度の事業再評価では計画期間を2030年度までとしている。

■愛知県

●名古屋鉄道(名鉄) 名古屋本線・三河線

一ツ木…=知立=…牛田 約1.6km
三河八橋…=三河知立(※高架区間外に移設)=知立=…重原 約1.9km

高架化後の知立駅のイメージ。【画像:知立市】

知立市内の知立駅とその前後の線路を高架化するもの。三河線の三河知立駅も高架化の範囲だが、同駅は連立事業の実施にあわせて高架化されない区間に移設される。名古屋本線は仮線への切替が完了しており、高架橋の工事が進んでいる。事業施行期間は2024年3月31日まで。

●名古屋鉄道(名鉄) 三河線

竹村…=若林=…三河八橋 約2.2km

豊田市内の若林駅とその前後の線路を高架化し、4カ所の踏切を解消する。仮線の着工に向けた準備工事を実施中。事業施行期間は2026年3月31日までの予定。

●JR東海 武豊線

乙川…=半田=…東成岩 約2.6km

高架化後の半田駅のイメージ。【画像:半田市】

半田市内の半田駅付近とその前後の線路を高架化し、踏切9カ所を解消する。本年度2020年度から仮線などの工事が始まった。事業施行期間は2028年3月31日まで。

■大阪府

●京阪電気鉄道(京阪電鉄) 京阪本線

寝屋川市…=香里園=光善寺=枚方公園=…枚方市 約5.5km

高架化後の光善寺駅のイメージ。【画像:大阪府】

寝屋川市内と枚方市内の線路を高架化し、踏切21カ所を解消する。現在は用地買収が進行中で、仮線や高架橋は未着手。事業施行期間は2030年3月31日まで。

●阪急電鉄 京都本線

正雀…=摂津市=…南茨木 約2.1km

摂津市内の摂津市駅とその前後の線路を高架化し、5カ所の踏切を解消する。2018年度から用地買収が始まっており、2023年度から工事着手の予定。事業施行期間は2034年3月31日まで。

●阪急電鉄 京都本線・千里線

南方…=崇禅寺=淡路=…上新庄 約3.3km
天神橋筋六丁目…=柴島=淡路=下新庄=…吹田 約3.8km

淡路駅付近の高架橋の構造物。かなり前から姿を見せているが未完成。【撮影:草町義和】

阪急の京都本線と千里線が合流する大阪市内の淡路駅を中心に線路を高架化し、17カ所の踏切(うち1カ所は吹田市内)を解消する。高架橋の工事が進んでいるが、工事は大幅に遅れている。高架切替は2024年度末、事業施行期間は2028年3月31日までに変更される見込みだ。

●JR西日本 東海道本線貨物支線(梅田貨物線)

新大阪…=※北梅田(新駅)=…福島 約2.4km

梅田貨物線の地下化工事現場。この写真の奥(南寄り)に北梅田駅のホームが設けられる。【撮影:草町義和】

貨物列車のほか関西空港アクセス特急「はるか」などの旅客列車が走る梅田貨物線を地下化し、踏切1カ所を解消するもの。梅田貨物駅跡地の再開発地域(うめきた2期)内を通るルートに変更され、大阪駅北側付近に地下新駅の北梅田駅(仮称)が設けられる。

事業施行期間は2024年3月31日までだが、線路の地下化と北梅田駅の開業は2023年3月の予定。北梅田駅は大阪駅と改札内の通路で結ばれ、営業上は大阪駅に編入される。また、北梅田駅から分岐してJR難波駅と南海新今宮駅を結ぶなにわ筋線も計画されており、こちらは2031年春に開業の予定だ。

●南海電気鉄道(南海電鉄) 南海本線

石津川…=諏訪ノ森=浜寺公園=…羽衣 約2.7km

大阪府の堺市から高石市にかけて南海本線の線路を高架化し、踏切7カ所を解消するもの。用地買収の難航や耐震基準の変更による工期の円背町などで計画は大幅に遅れている。現在の事業施行期間は2028年3月31日まで。

●南海電気鉄道(南海電鉄) 南海本線・高師浜線

浜寺公園…=羽衣=高石=…北助松 約3.1km
羽衣=…伽羅橋 約1.0km

高石市内の南海本線と高師浜線の線路を高架化し、踏切13カ所を解消する。全体の事業施行期間は2026年3月31日まで。

南海本線は2016年5月に下り線の高架化が完了し、上り線も今年2021年5月に高架化される予定だ。高師浜線は路線自体を運休(バス代行)して高架化工事を進めることが決まり、今年2021年5月から運休する。高架化が完了するのは2024年春の予定だ。

■広島県

●JR西日本 山陽本線・呉線

安芸中野…=海田市=向洋=…天神川 約3.9km
矢野…=海田市 約1.2km

広島県の海田町から広島市安芸区、府中町にかけ山陽本線・呉線の線路を高架化し、山陽本線の踏切12カ所と呉線の踏切4カ所を解消する。このうち山陽本線の向洋駅付近(約2.0km)を第1期区間とし、準備工事が始まった。第1期区間の事業施行期間は2038年3月31日まで。

■愛媛県

●JR四国 予讃線

三津浜…=松山=…市坪 約2.4km

高架化後の松山駅のイメージ。【画像:愛媛県】

松山駅とその前後を高架化し、8カ所の踏切を解消する。松山駅に併設されていた車両基地や貨物駅の機能は2020年3月までに、高架化の区間から外れた北伊予~伊予横田間に移転。現在は高架橋の工事が進んでいる。事業施行期間は2025年3月31日まで。

■福岡県

●JR九州 鹿児島本線・筑豊本線(若松線・福北ゆたか線)

陣原-=折尾=-水巻 約2.1km
本城-=折尾=-東水巻 約2.4km

今年2021年1月から使用開始した折尾駅の新駅舎のイメージ。右側に筑豊本線の高架ホーム、左側に鹿児島本線の高架ホームがある。【画像:JR九州】

折尾駅とその前後の線路を高架化し、9カ所の踏切を解消するもの。筑豊本線(若松線・福北ゆたか線)の折尾駅前後のルートを変更し、鹿児島本線の陣原方面と筑豊本線の東水巻方面を結ぶ短絡線も解消する。

鹿児島本線ホームと筑豊本線ホームの高架化はほぼ完了しており、駅舎の移転も今年2021年1月に完了。短絡線上にある地上ホームは今年2021年内に高架ホームに移転する予定だ。事業施行期間は2023年3月31日まで。

●西日本鉄道(西鉄) 天神大牟田線

井尻…=雑餉隈=(※新駅)=春日原=白木原=下大利=…都府楼前 約5.2km

高架化工事が進む西鉄天神大牟田線。【画像:福岡県】

福岡県の福岡市から春日市、大野城市にかけて天神大牟田線の線路を高架化するもの。雑餉隈~春日原間には高架化にあわせて新駅も設置される。

雑餉隈~新駅間とその前後の区間が福岡市の事業、それ以外の区間が福岡県の事業として行われている。福岡市の事業区間は7カ所の踏切を解消。福岡県の事業区間でも12カ所の踏切が解消される。

高架橋の建設工事が進んでいるが、工事は遅れている。福岡県の事業区間は2022年8月の高架化、2024年11月末の工事完了の予定。福岡市の事業区間も、これにあわせたスケジュールに変更されるとみられる。

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数カ月後に高架化が完了する路線もあれば、事業完了が10年以上先の路線もある。しかも、連立事業は用地買収の難航などで大幅に遅れることが珍しくない。予定は予定として、あまり期待しすぎずに気長に待つのがいいかもしれない。

ほかにも南武線の矢向~武蔵小杉間(川崎市)など、都市計画が決定していない連立事業や事業認可を受けていない連立事業がある。これらは用地買収や工事着手のめども立っていない。