岩日北線きらら夢トンネル「徒歩入場」有料で実施 幻の鉄道、遊覧車の不具合で



工事が途中で中止された国鉄線「岩日北線」の一部(山口県岩国市)を走るトロッコ遊覧車「とことこトレイン」が運休している。当面のあいだは徒歩入場とし、有料でトンネルを公開する。

幻に終わった岩日北線の路盤を走る「とことこトレイン」(2014年)。【撮影:草町義和】

「とことこトレイン」を運行している錦川鉄道によると、5月29日に車両の不具合が発生して運休中。部品の納入予定が確定していないといい、再開のめどは立っていない。このため錦川鉄道は当面のあいだ、「とことこトレイン」の運行区間のうち「きらら夢トンネル」で徒歩によるトンネル見学を有料で実施する。錦町駅発の時刻は10時00分・12時35分・14時15分の3回で、所要時間は約40分。料金は中学生以上800円、4歳~小学生が400円だが、錦川清流線の利用者は中学生以上650円、4歳~小学生300円に割引される。

蛍光石で装飾されている「きらら夢トンネル」(2014年)。【撮影:草町義和】

岩日北線は錦町~日原の40.9kmを結ぶ計画だった国鉄線。岩徳線・岩国~川西と岩日線・川西~錦町に岩日北線をあわせて岩国~日原を結ぶ路線として整備し、日原駅では山口線に接続して山陽エリアと山陰エリアを結ぶ陰陽連絡路線となる計画だった。

1967年から日本鉄道建設公団(現在の鉄道・運輸機構)の手により山口県と島根県の県境部を含む錦町~六日市の区間が着工したが、国鉄の経営悪化を受け1981年までに工事が凍結され、幻の鉄道(未成線)と化した。錦町駅で接続する岩日線も第三セクター化され、1987年に錦川鉄道が錦川清流線として経営を引き継いでいる。

岩日北線(赤)の錦町寄りのルート。「とことこトレイン」(緑色)は錦町駅から雙津峡温泉まで運行されている。【画像:国土地理院地形図、加工:草町義和】

岩日北線の完成した路盤のうち、錦町駅から雙津峡温泉まで約6kmの区間は公園扱いで再整備され、2002年に「きららトレイン」(現在の「とことこトレイン」)が運行開始。2009年には愛知万博(2005年)の会場内で運行されていた遊覧車に更新された。錦町~出市の広瀬トンネル(1796m)は「きらら夢トンネル」と題し、蛍光石で装飾されている。

※追記(2024年7月1日12時06分):錦川鉄道は6月29日から「とことこトレイン」の運行を再開した。

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