大阪府と大阪市は8月6日、大阪湾の人工島「舞洲」「夢洲」へのアクセス強化を図る「夢洲アクセス鉄道」について、JR桜島線(JRゆめ咲線)の舞洲・夢洲延伸と京阪中之島線の九条延伸が優位であるとした分析結果を公表した。大阪府市は今後、これらの路線の検討を深度化する考え。従来の構想である北港テクノポート線の新桜島延伸と京阪中之島線の新桜島延伸は中止される公算が高くなった。

大阪府市は昨年2024年11月、有識者や関係する鉄道事業者などで構成される「夢洲アクセス鉄道に関する検討会」(座長:宇都宮浄人関西大学教授)を設置。複数の鉄道整備案の比較調査を行っていた。
検討会で調査対象となったのは、過去の答申で整備が位置付けられていた「答申路線」と、過去の答申での位置付けがない「検討路線」。答申路線は北港テクノポート線の未開業区間(夢洲~舞洲~新桜島、4.3km)と京阪中之島線の延伸(中之島~西九条~新桜島、6.7km)で、検討路線はJR桜島線の延伸(桜島~舞洲~夢洲、4.9km)と京阪中之島線の延伸(中之島~九条、2.1km)になる。2040年の開業を想定し、これらの路線の事業費や収支、費用便益比(B/C)などを比較検討した。

分析結果によると、答申路線は事業費が約3700億円で、1日あたりの輸送人員は6万9100人。収支は40年以内に黒字転換する可能性がなく、B/Cは事業費と事業実施で得られる便益が同一になる「1」を下回って0.7~0.8になった。一方、検討路線は事業費が答申路線より若干安い約3510億円。輸送人員は答申路線の1.75倍となる12万1000人で収支は40年以内に黒字転換するとし、B/Cも1.1~1.2とした。

国土軸上にある新大阪駅から夢洲までのアクセスは、答申路線が「整備後の最短経路も南側からのため」として現状からの変化がないのに対し、検討路線は新大阪~夢洲の所要時間が現在の約34分から9分短縮の約25分で、乗り換えも解消されるとした。
大阪府市は今回の分析結果を受けて「今後は、優位性が確認された検討路線について、建設計画や運行計画等の検討の深度化を進める」とし、検討路線を対象に事業化の検討を実施。事業費の精査や建設計画・運行計画の検討、整備主体の検討などを行う考えだ。
夢洲・舞洲のアクセス鉄道整備は、1989年の運輸政策審議会答申で北港テクノポート線のコスモスクエア~夢洲~舞洲が「目標年次(2005年)までに整備に着手することが適当である区間」と位置付けられたほか、舞洲~此花方面が「今後路線整備について検討すべき方向」とされていた。

2008年の夏季オリンピックを夢洲・舞洲で開催する構想が浮上したことから、2000年に大阪港トランスポートシステムがコスモスクエア~新桜島の鉄道事業許可を取得。しかしオリンピックの誘致に失敗したのに加え、夢洲・舞洲の開発計画も見直されたことから事業は休止された。
2004年には、近畿地方交通審議会答申第8号で京阪中之島線を新桜島まで延伸して北港テクノポート線に連絡するルートが「中期的に望まれる鉄道ネットワークを構成する新たな路線」として盛り込まれたが、これも具体化には至っていなかった。
こうしたなか、夢洲で大阪・関西万博を開催することが決定。北港テクノポート線のコスモスクエア~夢洲のみ事業を再開して会場アクセス輸送を行うことになり、今年2025年1月に大阪メトロ中央線の延伸部として開業した。
夢洲は万博の閉幕後にカジノを含む統合型リゾート(IR)の整備が計画されており、JR西日本が桜島線の延伸を提案。京阪電鉄も中之島線を大阪メトロ中央線の九条駅に延伸し、中央線への乗り換えにより夢洲への連絡を図ることを提案した。このため、今後の鉄道整備の方向性を決める必要が生じたことから、大阪府市が検討会を設置して協議を進めていた。
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