「夢洲アクセス鉄道」大阪府市と鉄道会社が検討会 万博後に向け複数構想を調整へ



大阪府と大阪市は10月3日、学識経験者や鉄道会社で構成される「夢洲アクセス鉄道に関する検討会」を開催すると発表した。大阪・関西万博の閉幕後に向け、大阪湾の人工島「夢洲」「舞洲」に乗り入れる鉄道などの構想について議論する。

JRゆめ咲線・桜島駅の線路終端部。この先の舞洲や夢洲に延伸する構想がある。【画像:ヤナギムシ/写真AC】

検討の対象路線は、中之島~西九条~新桜島~夢洲(答申路線)と桜島~舞洲~夢洲(JR桜島線延伸)、中之島~九条(京阪中之島線延伸)の3路線を想定している。答申路線は運輸政策審議会と近畿地方交通審議会の過去の答申に盛り込まれていたルート。JR桜島線延伸はJR西日本の検討路線で、桜島線(JRゆめ咲線)を舞洲経由で夢洲まで延伸する。京阪中之島線延伸は京阪電鉄の検討路線。夢洲には乗り入れないが、京阪中之島線を大阪メトロ中央線の九条駅に延伸し、夢洲に延伸される大阪メトロ中央線に連絡する。

11月から検討会を非公開で開催し、来年度2025年度前半には検討結果(概要)を取りまとめる予定。検討会にはJR西日本・京阪電鉄・大阪港トランスポートシステム(OTS)・大阪メトロ・阪神電鉄の鉄道5社が委員として参加し、大阪府・大阪市からは大阪都市計画局・大阪港湾局・大阪府都市整備部・大阪市計画調整局が参加する。学識経験者の参加は調整中。ほかに国土交通省の近畿運輸局と近畿地方整備局がオブザーバーとして参加する。

検討対象として想定されている3路線(点線)。【画像:大阪府・大阪市】

夢洲・舞洲に乗り入れる鉄道は1989年、運輸政策審議会の第10号答申でコスモスクエア~夢洲~舞洲~此花方面が北港テクノポート線として盛り込まれた。このうち大阪・関西万博のアクセス輸送を担う南ルートのコスモスクエア~夢洲が事業中で、来年2025年1月19日、大阪メトロ中央線の延伸部として開業する予定。夢洲~舞洲~新桜島(USJ北西)の北ルートもOTSが鉄道事業の許可を受けているが、事業自体は凍結されている。

一方、2004年の近畿地方交通審議会答申第8号では、現在の京阪中之島線の延伸区間として中之島~西九条~千鳥橋~新桜島が盛り込まれた。その後、JR西日本の夢洲延伸と京阪電鉄の九条延伸も浮上。とくに西九条エリアから夢洲方面へは答申路線とJR西日本の検討路線が競合する格好になっている。

大阪府と大阪市は検討会について「夢洲における国際観光拠点の形成に向けたまちづくりの状況を踏まえ、夢洲への鉄道によるアクセスにかかる整備の方向性について検討」するとしている。大阪・関西万博閉幕後の夢洲地区の整備に向け、複数ある鉄道プロジェクトの構想を整理、調整する場になりそうだ。

《関連記事》
大阪メトロ中央線の夢洲延伸「さらに前倒し」開業日が決定 万博会場に直接アクセス
大阪メトロ中央線の森之宮支線「運行体系」「新駅構造」など詳細明らかに 国交相特許へ