大阪メトロ中央線の森之宮支線「運行体系」「新駅構造」など詳細明らかに 国交相特許へ



大阪メトロが軌道法に基づく軌道事業特許を申請している中央線の支線(森之宮支線)について、国土交通省が申請内容の詳細を明らかにした。6月18日に運輸審議会が大阪メトロの申請を軽微事案に認定しており、近いうちに国土交通大臣が特許するとみられる。開業は2028年4月の予定。

大阪メトロ中央線の列車。【画像:特級呪物/写真AC】

国交省によると、事業区間は中央線(本線)の森ノ宮駅から森之宮新駅(仮称)まで約1.1km。森ノ宮駅から車両基地(森之宮検車場)まで約700mは既設の回送線を活用し、検車場内の約300mの範囲に終点の森ノ宮新駅を設ける。

森之宮検車場は来年2025年に開催される大阪・関西万博のアクセス輸送に対応するため留置線が増設されるが、万博の閉幕後に留置線を撤去。空いたスペースを活用して単式ホーム1面1線の森ノ宮新駅を整備する。森ノ宮駅の改良の予定はない。

中央線支線の平面図。【画像:国土交通省】
中央線支線の縦断面図。【画像:国土交通省】

運行体系は森之宮~森之宮新駅の折り返し運行。1時間あたり上下8本、上下各15分間隔で列車を運行する。大規模イベント開催時などは臨時列車の運行や本線からの直通運行も検討する。森之宮支線の整備に伴う車両の新造は行わない。運賃は大阪メトロの運賃体系を適用し、加算運賃は設定しない。

利用者数は1日あたり約2万人で、運輸収入は年間約3億円を見込む。事業費は留置線の撤去費用と森之宮新駅上部に整備する駅ビルを除いて約50億円。大阪メトロが全額自己負担し、借入金などによる資金調達や国・自治体からの補助金は想定していない。損益収支は単年度で2033年度に黒字転換し、2041年度には累積でも黒字転換する計画。資金収支も累積で2052年度には黒字転換するという。

大阪メトロは特許取得に続いて工事施行認可を申請。万博が閉幕するまでの認可取得を目指す。万博の閉幕後、留置線の撤去などの工事を開始。2026年度初頭から森之宮支線の工事を開始し、2028年4月の開業を目指す方針だ。

今後のおもなスケジュール。【画像:国土交通省】

森之宮支線の構想は2022年、大阪府立大学と大阪市立大学を統合した大阪公立大学の開学を機に浮上。森之宮検車場の東側に同大学の新キャンパス(森之宮キャンパス)が2025年度内に新設される予定で、大阪府と大阪市の要望を受けた大阪メトロが森之宮キャンパスへのアクセス路線として計画した。ほかにも森之宮新駅予定地周辺の再開発が行われる計画だ。

※追記(2024年6月28日18時07分):国土交通大臣は2024年6月28日付けで特許した。

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