大阪メトロ中央線「森之宮新駅」整備へ 車両基地を活用、大阪公大などアクセス



大阪メトロは12月21日、中央線の車両基地「森之宮検車場」(大阪市城東区)の構内に「森之宮新駅」を設置する方針を決めたと発表した。検車場の北東側に新駅を設け、中央線の森ノ宮駅と新駅を結ぶ支線を整備。大阪城東部地区のアクセス改善を図る。2028年春の開業を目指す。

「森之宮新駅」の外観イメージ。【画像:大阪メトロ】

中央線は2025年の大阪・関西万博開催時に万博会場への主要アクセス路線となることから、同線の車両を増備して輸送力を増強する。このため森之宮検車場では既存の保守施設を移設、撤去して留置線を整備する工事が進められている。

万博終了後は増備した車両をほかの路線に転用して留置線も撤去する。この留置線の跡地を活用して新駅を整備。検車場の回送線を活用して森ノ宮駅と新駅を結ぶ支線も整備する。回送線は営業線化に対応できるよう線路・信号設備の高度化を図る。新駅の駅舎は球体とし、駅構内は開放感を持たせた空間を演出するという。

万博終了後は留置線の跡地に新駅を整備する。【画像:大阪メトロ】
中央線の森ノ宮駅と森之宮検車場の位置。検車場の回送線を活用して森ノ宮駅と新駅を結ぶ支線を整備する。【画像:大阪メトロ】

大阪城東部地区は森之宮検車場の東側を中心とした再開発エリア。A~Dの4地区に分かれており、新駅はB・C地区に隣接する形になる。A地区は大阪公立大学の新キャンパスが2025年度内にオープンする予定だ。B地区は大阪メトロの開発予定地。C地区にあったゴミ焼却工場は廃止されており、施設の解体が決まっている。

大阪メトロは万博開催とIR開業が予定されている西の拠点「夢洲」に対し、大阪府市を中心にまちづくりの計画が進む「森之宮」を東の拠点に位置付けている。中央線は夢洲と森之宮を結ぶ中央線を東西軸として強化することで大阪の発展に寄与するとしている。

新駅の整備も中央線強化策の一環となるもので、大阪メトロは新駅の必要性や基本的な収支計画・投資回収計画などを踏まえて設置方針を決定したとしている。同社は今後、社内での需要予測・収支・建設計画・運転計画などの詳細検討を経て、新駅設置の事業化に向けた関係者との協議を行う方針だ。

新駅の構内イメージ。開放感のある空間を演出する。【画像:大阪メトロ】

車両基地とその回送線を活用して営業路線や新駅を整備したケースとしては、東京メトロ千代田線の綾瀬~北綾瀬駅(綾瀬車両基地)や、山陽新幹線の博多駅と博多総合車両所を結ぶ回送線を活用したJR西日本の博多南線などがある。

※追記(2022年12月21日20時10分):記事を差し替えました。

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