函館本線の貨物列車脱線事故「レールの腐食」原因か まもなく運転再開へ



JR北海道は11月18日、函館本線で発生した脱線事故について、レールの腐食が原因の一つになった可能性が高いと発表した。事故の影響で運転を見合わせている区間は11月19日に再開の見込み。

内浦湾沿いの函館本線を走る特急「北斗」。【画像:まこりげ/写真AC】

事故は11月16日未明の1時42分ごろ、函館本線の森~石倉(森駅から石谷信号場までの区間)で発生。JR貨物の札幌貨物ターミナル行き下り貨物列車(機関車1両+コンテナ貨車20両)が桂川駅跡近くの鷲ノ木道路踏切付近を走行中、コンテナ貨車編成の5両(12・15・17・19・20両目)が脱線し、19両目と20両目が分離した。

JR北海道によると、脱線が発生したとみられる鷲ノ木道路踏切では、損傷した下り線側の右レールに著しい腐食がみられた。下り線側の左レールと上り線側のレールには腐食はなかったという。同社は「現時点で運輸安全委員会から脱線の原因についての言及はありませんが、当社としてレール腐食が脱線の原因の一つになった可能性が高いと考えています」としている。

鷲ノ木道路踏切の横断面図と各レールの状態。【画像:JR北海道】

レールの検査手法は、目視で傷や腐食などの状態を調べる「レール等検査」や、検査機器を搭載した車両を使って傷の有無を検査し、傷があった場合は超短波探傷器を使って詳しく調べる「レール細密検査」がある。JR北海道によると、同社はレール等検査を1年に1回実施。レール細密検査は1~4年に1回実施しており、今回の事故現場では1年1回のペースで実施していたという。

踏切内は目視が困難なため超音波探傷がおもな検査手法になる。JR北海道によると、鷲ノ木道路踏切で検査を行った際、超音波探傷器での超音波エコー表示に途切れが発生していた。このような場合はレールの確認を改めて行う必要があり、本来は踏切の敷板を外して確認するのが望ましいが、敷板の取り外しはルール上は定めておらず、目視確認がレール頭部に限定されていたという。

超短波探傷器による検査のイメージ。【画像:JR北海道】

JR北海道は今回の事故を受け、函館本線の鹿部~長万部で鷲ノ木道路踏切と条件が似ている7踏切(10カ所)で、11月18日までに超音波探傷器による点検を再度実施。このうち3踏切(5カ所)は敷板を撤去して目視確認を行い、すべての踏切で安全を確認したとしている。同社は今後、実施範囲を拡大して超音波探傷器による点検を行う考え。

函館本線は11月18日15時25分時点で事故現場を含む森~長万部の運転を見合わせており、函館~長万部で代行バスを運行中。特急「北斗」は一部の列車のみ長万部~札幌で運転している。JR北海道は復旧作業が順調に進んでいるとし、11月19日は始発から運転を再開する見込みとしている。

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