南海電鉄は10月30日、鉄道事業の分社化を取締役会で決議した。機動性の強化と意思決定のスピード向上を目指す。
南海電鉄の計画では吸収分割方式を想定。同社が100%出資して設立する新会社に鉄道事業を承継させる。2025年3月に分割契約書の取締役会決議を行い、同年6月の株主総会での承認を経て2026年4月に分社化する予定だ。現在の南海電鉄は分社化後、不動産業などを中心に展開する。
南海電鉄によると、鉄道事業は「安全・安心な輸送サービスを将来にわたりサステナブルに提供し続けていくこと」、不動産事業は「今後の成長を牽引する原動力として、飛躍的な成長の実現」を目指しいる。各事業をスピード感をもって推進するためには「分社化によって、それぞれの事業特性に応じた実行体制を持つ強靭な組織に改革していくことが必要」と判断したという。
現在の南海電鉄は鉄道・流通・不動産の各事業を展開。ほかにグループ会社の泉北高速鉄道と阪堺電軌が鉄道・軌道事業を行っている。このうち泉北高速鉄道は分社化に先立つ来年2025年4月1日付けで現在の南海電鉄に吸収合併される予定だ。
現在の大手私鉄16社で持株会社制の導入や鉄道事業の分社化が図られているのは、西武鉄道・東急電鉄・相鉄・近鉄・京阪電鉄・阪急電鉄・阪神電鉄の7社。南海電鉄が分社化すると、関西の大手私鉄はすべて持株会社制か分社化されることになる。
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