ことでん「値上げ」運賃改定を申請、初乗り200円に 車両の更新など実施へ



高松琴平電気鉄道(ことでん)は2月24日、鉄道事業の旅客運賃上限変更認可を申請した。認可された場合、同社は5月頃に平均10.9%の値上げを行う。

ことでんの列車。【画像:たろとれ/写真AC】

普通運賃は初乗り(4km以下)が現行190円なのに対し、改定後は10円値上げの200円に。4.1~20kmは各距離帯ごとに20~90円値上げし、20.1km以上は一律100円の値上げになる。瓦町駅からの運賃(値上げ幅)は、琴電志度駅までが470円(60円)、長尾駅までが510円(70円)、琴電琴平駅までが730円(100円)。

上限運賃より安い実施運賃が設定されている特定区間も値上げされる。高松築港~八栗・六万寺と片原町~六万寺は現行350円が40円値上げの390円、高松築港~大町・八栗新道と片原町~八栗新道は50円値上げの420円、高松築港~琴電志度は70円値上げの500円に変わる。

普通運賃の現行額と改定額、値上げ幅。【画像:ことでん】

定期旅客運賃は通勤が13.6%の値上げ。通学は家計への影響を考慮して7.2%の値上げに抑える。瓦町~伏石の場合、1カ月の運賃(値上げ幅)は通勤定期が7800円(870円)、通学定期が4440円(160円)になる。

ことでんは2000年度に1440万人が利用。2011年度は1238万9000人まで落ち込んだが、その後は利用者の増加が続いて2019年度には1491万8000人に膨れあがっていた。コロナ禍の影響を受けた2020年度は1152万3000人と大幅に減少。2021年度は1192万2000人まで回復したものの、コロナ禍前の20年間で最も利用者が少なかった2011年度よりも少ない状況が続いている。

ことでんによると、同社の鉄道事業はモータリゼーションや少子化、コロナ禍などで厳しい状況。これに加えて燃料費の高騰や、今後は製造から60年が過ぎた車両の更新など長期間に渡り運営コストの増加も避けられない。安全性・安定性を保ち、社会に価値を提供するために運賃を値上げすることにしたという。

消費税率の引き上げを除くと、ことでんの運賃改定は27年ぶり。同社は運賃の値上げにより8.8%の増収を見込む。ことでんは今後、駅への多機能トイレ設置や出入口のスロープ化などバリアフリー化を推進するほか、2013年度から止まっている車両の更新を検討する方針だ。

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