高松市中心部「ことでん高架化」都市計画を廃止 踏切維持のまま改良に向け前進



高松市中心部を通る、ことでん琴平線・長尾線を高架化して踏切を解消を図る連続立体交差事業(連立事業)について、香川県は連立事業の都市計画を廃止する方針を決めた。今後の焦点は廃止に向けたスケジュール調整や住民との合意形成に移る。

高松市が進めている本町踏切の暫定整備計画。【画像:香川県】

3月28日に開かれた琴電連立検討委員会の第4回会合で香川県が廃止の方向性を示し、検討委が承認した。

この連立事業は、琴平線・高松築港~瓦町~栗林方面の約2.9kmと長尾線・瓦町~花園方面の約1kmを高架化し、28カ所の踏切を解消する計画だった。1998年に都市計画が決定されたが、財政難などを受け2010年に中止が決定。一方で都市計画はそのまま維持されたため、高架化の代替策を実施することができないなどの制約があった。香川県は都市計画の存廃も視野に入れた検討委を2020年9月に設置し、検討を進めている。

香川県は2021年11~12月に実施した住民アンケートの結果(配布数:4000通、回収数1399通、回収率:35%)を検討委で報告。それによると、踏切があるため生活に不都合があるかどうかとの問いに対して「特にない」「不都合なことはあるが、許容の範囲内である」とした回答が9割弱を占めた。

また、連立事業区間内にある「主要3踏切」(本町踏切・福田町第4踏切・観光道路踏切)について渋滞状況の印象を尋ねたところ、渋滞状況が以前より「よくなった」と感じている人の割合は本町踏切が7.4%、福田町第4踏切が9.2%、観光道路踏切が10.5%。「よくなっていない」とした人は本町踏切が23.5%、福田町第4踏切が16.6%、観光道路踏切が17.8%で、とくに本町踏切の改善が進んでないとの意見が多かった。

本町踏切は現在、高松市が歩道の新設や横断歩道の集約、右折レーンの確保などを図る暫定整備計画を進めており、香川県は中長期的な施策として高架道路の新設を構想している。これらについて意見を聞いたところ、暫定整備計画と高架道路整備で「十分」「効果が期待できる」「やむを得ない」と回答した人が約8割を占めた。

中長期的な施策として考えられている高架道路の整備。【画像:香川県】

自由意見を記入した人は678人。「本町踏切の高架の道路整備への期待」を述べた意見が140件で、それ以外に「琴電連立が望ましい」が97件、「本町踏切の危険性、対策の必要性」が81件、「琴電連立は必要ない」が61件、「まちづくりや公共交通利用の促進」が53件あった。

香川県によると、主要3踏切は2007年を最後に人身事故が発生しておらず、踏切を通過する自動車交通量も減少傾向。将来的にも道路交通の状況が現況より悪化するとは考えにくいという。本町踏切は渋滞の長さや踏切の通過時間が長く渋滞の問題が大きいが、住民アンケートの結果では暫定整備計画と高架道路の整備を容認する意見が多数を占めたことから、連立事業の都市計画を廃止しても支障はないとしている。

香川県は今後、都市計画の廃止に向けたスケジュールの整理や住民との合意形成、都市計画廃止後のまちづくりの在り方などについて検討を進める。検討委は2022年度中に結論をまとめる方針だ。

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