JR東海は5月16日、寒冷な雨や雪が降る環境を模してブレーキ試験を行うことができる「ブレーキ総合試験装置」を、小牧研究施設(愛知県小牧市)に設置したと発表した。導入費用は約28億円。JR東海によると、鉄道会社がブレーキ総合試験装置を設置するのは国内では初めて。東海道新幹線のブレーキ性能の向上を目指す。
この装置は車輪が回転しながらレールに接触することで生じる摩擦で加速力やブレーキ力を伝える現象(粘着)を試験する「粘着試験部」と、台車を試験する「台車試験部」の二つの装置で構成される。
粘着試験部では、粘着に関する基本的な試験を行うことで、さまざまな気象条件下での最適なブレーキ力の制御手法を見いだすとともに、ブレーキ部品の改良に取り組む。台車試験部では、粘着試験部で得た成果を実際の台車やブレーキ装置を用いて検証する。
雨や雪の降る環境で強いブレーキをかけると、滑走距離が長くなる場合がある。JR東海は小牧のブレーキ総合試験装置を使い、さまざまな気象条件下で滑走を早く収束できるよう研究を進める。
また、冬季には車両への着雪による影響を避けるための徐行運転で列車が遅れるほか、着雪を駅で落とす作業も発生する。JR東海は着雪しにくい車両構造の検討や雪落とし作業を機械化する開発でもブレーキ総合試験装置を活用するとしている。
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