JR東海は3月9日、リアルタイムで車両の状態を監視するシステム「DIANA(ディアーナ)」を在来線車両に導入すると発表した。
「DIANA」は「Data Integrated monitoring and Analysis system」の略。JR東海によると、従来車両の313系やキハ25形は車両基地で1日から数日おきにデータを取得しているが、「DIANA」は走行時もLTE通信でリアルタイムに地上の分析サーバーにデータを送信する。ハイブリッド式特急型車両HC85系(試験中)は空調やエンジン、ブレーキ、空気圧縮機などのデータを送信し、3月5日にデビューした315系はブレーキや側引戸、空調、空気圧縮機などのデータを送信する。
分析手法は既存車両のデータやHC85系の試験走行結果を基に開発。これを用いて自動分析することで、車両の不具合の予兆を車両基地などに通知する。また、315系ではAIによる冷房の自動学習・制御最適化機能により、自動的に設定温度の補正を行う。JR東海によると、エンジンに関するデータのリアルタイム通信(HC85系)とAIによる冷房の自動学習・制御最適化機能(315系)は国内初という。
運用開始は4月1日の予定だが、315系のAIによる冷房の自動学習・制御最適化機能は3月5日から運用されている。JR東海は「DIANA」の導入で車両の不具合を未然に防止できるほか、異常発生時の迅速な対応や冷房制御のきめ細かな制御などの効果があるとしている。
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