新型特急HC85系で「次世代バイオ燃料」試験 JR東海など実用性を検証



JR東海とユーグレナの2社は1月19日、HC85系の試験走行車でユーグレナが開発、販売する「次世代バイオディーゼル燃料」の実用性検証試験を実施すると発表した。

HC85系のイメージ。【作画:鉄道プレスネット】

まず1月下旬、エンジン単体でも試験を実施。2月上旬には車両基地の名古屋車両区構内での走行試験を行う。2月中旬~下旬には紀勢本線で本線走行試験を行う予定だ。2社は次世代バイオディーゼル燃料がエンジンの性能に与える影響を確認するとともに、実際の車両を用いた走行試験を実施することで、次世代バイオディーゼル燃料の実用性を検証するとしている。

バイオディーゼル燃料は植物から作られるディーゼルエンジン用の燃料。燃焼すると軽油と同じように二酸化炭素(CO2)を排出するが、原料となる植物が光合成でCO2を吸収するため排出量は実質ゼロになるとされ、地球環境への負荷を軽減できると考えられている。

2社などによると、ユーグレナが開発した次世代バイオディーゼル燃料は、軽油など石油由来の燃料と同様に炭化水素からなるバイオ燃料。昨年2021年10月にはJR貨物が越谷貨物ターミナル駅構内のコンテナ移送トラックで使用を開始した。

従来型バイオディーゼル燃料は、軽油とは異なる分子構造を持つ脂肪酸メチルエステルなどで構成されている。このため、エンジントラブルなどの防止対策として軽油との混合比率を5%までとすることが規格化されている。

一方、次世代バイオディーゼル燃料は分子構造が軽油と同じため、軽油として取り扱うことができる。このため、化石燃料由来の燃料への混合比率の制限を緩和することが可能。適切なプロセスで製造することで軽油と同様の燃焼特性を実現でき、エンジンに変更を加えることなく使用できるとされているという。

HC85系は高山本線や紀勢本線など非電化路線向け新型特急車両。ハイブリッドシステムを採用しており、エンジンで発電した電力と蓄電池の電力を組み合わせてモーターを回して走行するのが特徴だ。2019年に試験走行車が完成。2022年度から2023年度にかけ量産車が製造される計画だ。

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