平成筑豊鉄道田川線「127歳」油須原駅の駅舎を復元改装 再生エネの研究室も



平成筑豊鉄道は2月10日、田川線・油須原駅(福岡県赤村)の木造駅舎を「復元改装」したと発表した。

復元改装された油須原駅の駅舎。【画像:平成筑豊鉄道】

デザイン監修は西日本工業大学デザイン学部の石垣充教授。石垣教授はこれまで、田川線の東犀川三四郎駅や美夜古泉駅の待合室のリニューアルを手がけている。

傷んでいた下見板張りや漆喰(しっくい)壁を補修。塞がれていた扉や窓を復元するとともに、駅舎正面のシャッター開口部をふさいだ。アルミサッシ窓は桟の入った木製のものに交換し、アルミ製の引き戸も木製の建具に交換した。照明はレトロ調のものに交換。夜間はムードのある空間を演出するという。切符売場(出札口)は復元を見送ったが、将来的には復元して乗車券の発売体験などに活用する予定だ。

油須原駅の駅舎(ホーム側)。【画像:平成筑豊鉄道】

このほか、鉄道作業体験室と協働研究室を新設。鉄道作業体験室は旧国鉄時代の事務室をイメージしたもので、タブレット閉そくの取り扱いなど、かつての駅員の仕事が体験できるようにした。昔の鉄道資料も展示している。イベント時のみ公開され、次回は3月21日の予定。

協働研究室は旧ギャラリーを活用したもので、沿線住民や西日本工業大学の活動拠点として使われる。壁面にはオイルダンパを用いた制震装置を設置。駅の復元設計や施工を行う際の作業室として、また小水力発電など赤村の自然環境を活かした再生エネルギーの研究に取り組む予定だ。

一方、ギャラリーは駅舎に入って左側に新設。赤村や平成筑豊鉄道のイベント情報、ポスターなどを展示する。地域情報や写真展などの展示を行う公開空間としても利用する。また、ホームには旧国鉄時代の木製鳥居型駅名標を復刻して設置した。

駅舎内部。【画像:平成筑豊鉄道】

油須原駅は豊州鉄道の駅として1895年に開業。九州鉄道への合併や国有化、JR九州への移行を経て1989年から平成筑豊鉄道田川線の駅になった。駅舎は開業時からあるもので、建造から127年が経過している。

平成筑豊鉄道によると、近年は「古いローカル線の雰囲気が残る駅」として各種ロケに使われたほか、訪問客も増えている。この駅舎を今後も使い続けられるよう、西日本工業大学と赤村の協力による産学官連携事業として復元改装を行った。

旧国鉄時代の資料が散逸していて完全な復元とはならなかったが、懐かしい開業当時の雰囲気をイメージして改装した一方、内部には制震装置を備えるなど最新の機能を追加。今後の地域交流拠点として観光など地域活性化につなげるという。

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