JR九州の29駅「無人化」来年3月から 乗車1000人以上の駅も、48駅は窓口廃止



JR九州は12月23日、来年2022年3月12日のダイヤ改正にあわせ、29駅を無人化すると発表した。切符の販売窓口も48駅で廃止する。人口減少やコロナ禍などによる利用者・収入の減少を受け、駅の運営体制を見直す。

福岡市営地下鉄空港線・筑肥線の列車も乗り入れている唐津線の終点・西唐津駅。来年3月から無人駅に変わる。【撮影:草町義和】

無人駅になる駅と切符販売窓口が廃止される駅は次の通り。いずれの駅も券売機で切符を購入できるようにする。

■駅員が終日不在になる駅(無人化)

●福岡県
日豊本線:南行橋駅・新田原駅・築城駅・椎田駅
篠栗線:門松駅・筑前大分駅
筑豊本線:小竹駅
久大本線:久留米高校前駅・南久留米駅

●佐賀県
鹿児島本線:けやき台駅
長崎本線:鍋島駅・牛津駅・多良駅
筑肥線:東唐津駅
唐津線:西唐津駅

●長崎県
長崎本線:西諫早駅・高田駅・道ノ尾駅
大村線:彼杵駅

●大分県
日豊本線:大神駅・暘谷駅・東別府駅
久大本線:天ヶ瀬駅

●熊本県
鹿児島本線:長洲駅・崇城大学前駅
豊肥本線:東海学園前駅・竜田口駅

●鹿児島県
鹿児島本線:串木野駅
肥薩線:吉松駅(吉都線の分岐駅)

■切符の販売窓口を廃止する駅

●福岡県
鹿児島本線:小森江駅・九州工大前駅・枝光駅・陣原駅・水巻駅・教育大前駅・東福間駅・千鳥駅・ししぶ駅・笹原駅・春日駅・水城駅・都府楼南駅・天拝山駅・荒木駅
日豊本線:安部山公園駅・朽網駅・小波瀬西工大前駅・宇島駅
篠栗線:柚須駅・原町駅
筑豊本線:飯塚駅
久大本線:久留米大学前駅
筑肥線:下山門駅
日田彦山線:志井公園駅

●佐賀県
鹿児島本線:弥生が丘駅
長崎本線:中原駅・吉野ヶ里公園駅
筑肥線:浜崎駅
唐津線:小城駅

●長崎県
長崎本線:喜々津駅・長与駅
大村線:川棚駅・竹松駅

●大分県
日豊本線:別府大学駅・西大分駅
久大本線:南大分駅

●熊本県
鹿児島本線:川尻駅・松橋駅・小川駅・有佐駅
豊肥本線:平成駅・南熊本駅・武蔵塚駅・三里木駅

●鹿児島県
鹿児島本線:上伊集院駅
日豊本線:帖佐駅・姶良駅

JR九州が公表している駅別乗車人員(2020年度)によると、3月に無人化される駅の多くは1日の乗車人員が数百人程度だが、なかには豊肥本線の東海学園前駅(1212人)や篠栗線の門松駅(1132人)、日豊本線の南行橋駅(1122人)、鹿児島本線の崇城大学前駅(1021人)のように、コロナ禍でも1000人を超えている駅がある。

無人化や切符販売窓口の廃止が行われない駅でも、切符販売窓口の営業時間が短縮される。県庁所在地駅などの主要駅は7~19時に。福北都市圏の駅や新幹線、特急列車が停車する一部の駅などは7時30分~19時になる。これ以外の駅は、利用状況などを勘案して7時30~15時や7時30分~12時などになる。

これに伴い、切符の受取ルールを一部変更する。福岡市内・北九州市内の駅のうち、無人駅(一部時間帯に駅員が不在になる駅を含む)またはネット予約の切符を受け取れない駅から乗車し、利用当日に最寄りの販売窓口がある駅まで列車を利用した場合、その運賃を切符の購入時に払い戻す。受取ルールの変更は1月に実施する予定。

無人化などによるサービス代替策も充実させる。無人駅や時間帯によって駅員が不在になる駅では、身体障害者を補助する介助スタッフが駅に出向いて乗降を手伝う。JR九州は「当日でも基本的に対応させていただきます」とする一方、「事前にご連絡いただけますと、スムーズにご案内できます」として事前連絡を求めている。

2月からは、香椎線で乗務員による乗降の手伝いを試験的に開始する。ネット上で事前に介助を申し込める「WEB受付窓口」も夏頃に導入する予定だ。このほか、安全対策として駅のホームや改札口に録画カメラを導入。駅によってはカメラによる遠隔監視も行う。

西唐津駅の改札口と切符売場。【撮影:草町義和】

JR九州は少子高齢化に伴う人口減少や自然災害の激甚化、コロナ禍によるテレワークの普及などを挙げ、「鉄道を取り巻く環境は非常に厳しい状況」としている。本年度2021年度の鉄道旅客運輸収入は同社発足以来最低だった2020年度に次ぐ低水準で、「今後も以前のような水準には戻らない」と想定している。

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