久大本線の新観光列車、列車名は「地元の有力者」キハ47・125の3両編成



JR九州は10月26日、久大本線で運行する新しい観光列車の列車名を「かんぱち・いちろく」に決めたと発表した。久大本線との関係が深い地元の有力者に由来。博多~由布院・別府を結ぶ特急列車として来年2024年春から運行する。

久大本線の観光列車「かんぱち・いちろく」用車両の改造元となるキハ47形(左上)とキハ125形(右下)。【画像:JR九州】

久大本線の建設運動を行った麻生観八。【画像:JR九州】
「一六曲がり」の衛藤一六。【画像:JR九州】

「かんぱち」は久大本線沿線の酒造会社「八鹿酒造」(大分県九重町)3代目の麻生観八(あそう かんぱち)にちなむ。麻生は1906年、久留米と大分を結ぶ鉄道の敷設運動を開始。鉄道院(のちの鉄道省、国鉄に相当)の後藤新平総裁に陳情するなど政府に働きかけた。1915年に大分~小野屋が私鉄の大湯鉄道として開業。1922年に国有化され、久留米~小野屋も順次延伸されたが、1934年の久大本線の全通を見ることなく死去した。

「いちろく」は旧大分県農工銀行頭取の衞藤一六(えとう いちろく)に由来する。JR九州によると、衛藤は1923年の小野屋~温平の延伸開業後、湯平を過ぎたあたりから線路を北由布・南由布の両村(現在の大分県由布市)に通すよう働きかけた人物。この影響で湯平~野矢の線路は大きく迂回(うかい)するオメガカーブを描くルートになり、地元では衞藤の功績をたたえて「一六線(一六曲がり)」と呼ぶようになったという。

列車名のほか使用車両なども発表された。列車は3両編成で全席グリーン車。1・3号車は、かつて肥薩線の特急「いさぶろう・しんぺい」で運用されていたキハ47形気動車2両を改造する。2号車はビュッフェ車で、キハ125形気動車を改造。3両とも今年2023年10月初旬、改造のため小倉総合車両センターに入場した。

「かんぱち」は博多発→由布院・別府行きの列車として月・水・土曜日に運行。「いちろく」は別府・由布院発→博多行きとして火・金・日曜に運行される。木曜日は「かんぱち」「いちろく」ともに運行しない。人名に由来し方向別に列車名を変えるのは「いさぶろう・しんぺい」と同じだ。

久大本線の新しい観光列車は2023年5月にJR九州が発表。同社の車両デザインを一手に引き受けてきたドーンデザイン研究所の水戸岡鋭治代表取締役ではなく、鹿児島の建築デザイン会社「IFOO(イフー)」がデザインを担当することがあわせて発表され、注目を集めた。JR九州は今後、車両のレイアウト・外観・内装・デザインや運転時刻・運転日・停車駅・車内サービス・発売額・発売方法などについて、決まり次第順次案内するとしている。

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