国土交通省の中部運輸局は3月31日、福井県永平寺町の遊歩道「永平寺参ろーど」の自動運転移動サービス「ZEN drive」用の車両について、道路運送車両法に基づく「レベル4」の自動運転車両として認可した。レベル4の認可は国内初。
認可されたのは国立研究開発法人の産業技術総合研究所(産総研)が申請していた自動運転車両。ヤマハ製の電動カートを産総研が改造し、自動運転システムを追加した。道路に敷設した電磁誘導線上を追従しながら12km/hで走行する。
今回認可された車両は、自動運転システムが周囲の状況を判断して出発・停止などの運転作業や緊急時の自動停止などを行う機能を搭載。ドライバーが乗らなくても自動運転できる。
今後は4月1日に施行された改正道路交通法に基づく特定自動運行の許可を受ければ、参ろーどでレベル4の自動運転移動サービスを提供できるようになる。産総研によると、サービス面での実証実験などを行う予定という。
永平寺参ろーどは京福電鉄永平寺線の廃止区間のうち、東古市(現在の永平寺口)~永平寺の廃線跡を活用した全長約6kmの遊歩道。この区間は2001年に発生した列車の衝突事故による運休を経て2002年に廃止され、のちに遊歩道として整備された。
2017年から2019年にかけ、産総研などが参ろーどで自動運転車両の実証実験を実施。2021年3月には遠隔監視・操作型の自動運転システムを備えた車両で「レベル3」の認可を受け、永平寺町を運行主体として「ZEN drive」の本格運行が始まった。
運行区間は参ろーど南側の約2kmで荒谷地区と志比地区(永平寺門前)を結ぶ。原則として冬季を除く土曜・休日の10~15時の運行。所要時間は約10分。
レベル3・4ともに自動運転システムが自動車を運転するが、レベル3はドライバーが乗り込み、システムトラブルなど緊急時に手動で停止させるなどの対応を行う必要がある。これに対しレベル4は、自動運転車の専用道路のみ走行するなど特定の条件下に限り完全な自動運転を行うもので、ドライバーが乗る必要はない。
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