高松中心部「ことでん高架化」都市計画の廃止が正式決定 踏切対策は高架道路で



ことでん琴平線・長尾線の高松市中心部の線路を高架化する連続立体交差事業(連立事業)について、香川県の琴電連立検討委員会は3月27日に第6回会合を開き、「都市計画を廃止しても支障がない」と結論付けて閉会した。10年以上前に事業の中止が決まっていたが、都市計画上も「幻の計画」になる。

高松築港~片原町の地上線を走ることでんの列車。【画像:これこれ/写真AC】

この連立事業は琴平線・高松築港~瓦町~栗林方面の約2.9kmと長尾線・瓦町~花園方面の約1kmを高架化して28カ所の踏切を解消するもの。片原町・瓦町の各駅を高架化し、高松築港駅はJR線の高松駅近くに移転して高架化する計画だった。

1998年の都市計画決定を経て2000年に事業認可されたが、香川県・高松市の財政難やことでんの経営悪化を受けて凍結され、2010年に事業の中止が決定。しかし連立事業の実施を前提にした都市計画が有効な状態のまま維持されていたことから、関係機関などからは「駅の最終位置が確定しないので、駅周辺の新たな整備や施設配置が難しい」といった声が上がっていた。

都市計画上も廃止される連立事業の区間(赤)。【画像:国土地理院地形図、加工:鉄道プレスネット】

香川県は2020年9月に検討委を設置し、連立事業の存廃や踏切対策の検討を始めた。踏切の交通量が減少傾向にあることや、住民アンケートで線路が高架化されなくても「不都合はない」「許容範囲」などとした回答が多数を占めたこともあり、検討委は2022年3月の第4回会合で連立事業の都市計画を廃止する方向で検討を進めることを決定。今回の第6回会合で都市計画の廃止を正式に決めた。

今後は都市計画の変更手続きが進められ、来年2024年には連立事業の都市計画が廃止されるとみられる。香川県や高松市は高松築港~片原町にある本町踏切の渋滞対策として、道路を高架化する構想を推進する方針だ。

香川県・池田豊人知事:検討委員会での検討を踏まえ、来年度(2023年度)から高松市と連携して住民との合意形成を図りながら、琴電連立に関する都市計画の変更に向けた手続きを進める。本町踏切のボトルネック対策としての高松環状道路の整備が1日も早く進むよう、国や市と連携して取り組みたい。

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