「羽田空港アクセス線」トンネル下部に避難空間 JR東日本、環境手続きで変更届出



羽田空港アクセス線として改修される計画の東海道貨物支線(大汐線)。【撮影:草町義和】

JR東日本は東京都条例に基づく羽田空港アクセス線(仮称)の環境影響評価手続きについて、事業計画の変更を届け出た。トンネルの構造などを変更する。

羽田空港アクセス線は、東京の都心部と東京国際空港(羽田空港)を結ぶ鉄道の計画。JR東日本は3ルート案のうち「東山手ルート」の約12.4kmを先行整備する方針で、2029年度の開業を目指している。東山手ルートは、田町駅付近に東海道線と東海道貨物支線(大汐線)を接続する線路を整備し、ここから東京貨物ターミナル駅まで大汐線を改修。東京貨物ターミナル~羽田空港新駅(仮称)間に地下トンネルのアクセス新線を建設する。

変更の手続き日は2021年5月15日付け。おもな変更点は、東京貨物ターミナル内改良区間(約2.5km)とアクセス新線(約5.0km)の構造になる。東京貨物ターミナル内改良区間は現在の救援センター踏切を高架橋でまたぐ計画だったが、変更後は高架を設けず、すべて地平に線路を敷設する。ここに設けられる車両留置線と保守基地線の敷地面積は、約5000平方m増えて約2万3000平方mになる。

アクセス新線はトンネルの形状を変更。これまでは二つの単線円形トンネルをつないだ形の「複円断面」(幅約12m、高さ約7m)で整備する計画だったが、複線トンネル1本の「単円断面」(直径約12m)に変わる。これによりトンネル内の線路下に避難空間を設けることが可能になったため、京浜島つばさ公園付近に計画していた中間立坑の建設を取りやめる。また、トンネル区間を短くして約4.8kmとする一方、地平区間を約0.1km設ける。擁壁区間(約0.1km)は変わらない。

アクセス新線のトンネル断面形状。当初の計画では単線の円形トンネルを二つつないだ形の「複円断面」だったが、複線の円形トンネル1本の「単円断面」に変更された。【作成:鉄道プレスネット編集部】

このほか、平面図や縦断図などを更新した。従来の平面図では、アクセス新線を実物大ベースで幅約200mの太い線で描いていたが、更新後の平面図では幅約50mの細い線に変わり、ルートは変更前よりやや東にずれた。アクセス新線の第1種鉄道事業許可申請書に添付されていた平面図と、ほぼ同じルートで描かれている。

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JR東日本は2019年から東京都条例に基づく環境影響評価の手続きに着手。同年5月に環境影響評価調査計画書を提出していた。JR東日本は今回の変更について、事業計画の具体化に伴うものとしている。鉄道法規上の手続きでは、2020年8月にアクセス新線の第1種鉄道事業許可をJR東日本が申請。今年2021年1月に国土交通大臣が許可した。