山形新幹線「全車指定席化」来春から 山形・秋田「新料金」も導入、その仕組みは?



JR東日本の仙台支社・秋田支社は11月16日、山形新幹線の全車指定席化と山形・秋田新幹線の特急料金改定を行うと発表した。来年2022年春に実施する。

全車指定席化される山形新幹線「つばさ」。【画像:JR東日本】

山形新幹線「つばさ」は現在、7両編成のうち原則として2両(16・17号車)が自由席。2022年春からは、すべての列車が全車指定席に変わる。

JR東日本によると、「つばさ」の自由席車両は最繁忙期を中心に混雑が激しく、自由席に座るために長時間並ぶ必要があることや、始発駅に近いほうが座れるという「不公平感」、当日まで席の確保が不確実という課題を抱えていた。

6月にネット予約サービス「えきねっと」がリニューアルして指定席の予約サービスが拡充されたことから、「つばさ」の全車指定席化を図ることにしたという。秋田新幹線「こまち」は2002年に全車指定席化されている。

これに伴い、「こまち」と同様の特定特急料金を山形新幹線にも設定する。金額は現行の自由席特急料金に相当し、通常期の指定席特急料金から530円引き。普通車指定席の空席に座ることができる。

山形新幹線とともに料金体系が変わる秋田新幹線「こまち」。【画像:JR東日本】

同時に山形新幹線「つばさ」と秋田新幹線「こまち」の特急料金も改定し、新たな料金体系を採用する。JR東日本は「指定席特急料金の価格見直しにより、わかりやすくお求めやすい料金体系」にするとしている。

通常期の場合、新幹線区間と在来線区間にまたがる特急料金はいまより100~150円の値下げ。ただし「つばさ」全車指定席化で普通車の自由席から指定席への利用に変える場合は760~810円の値上げだ。

在来線区間のみ利用する場合はいまと同額か、最大280円の値下げ。自由席利用から特定特急券の利用に変える場合も同じだ。

「またがり」「在来線のみ」で異なる料金を共通化

山形新幹線・福島~新庄間と秋田新幹線・盛岡~秋田間は、在来線(奥羽本線・田沢湖線)を改良して標準的な規格の新幹線(フル規格)からの直通運転を可能にした、いわゆる「ミニ新幹線」。営業上は在来線区間の扱いとなっており、特急料金の体系もフル規格の新幹線区間とは異なる。

現在、在来線区間のみ利用する場合は在来線のA特急料金を適用。新幹線区間と在来線区間をまたがって利用する場合、新幹線区間では新幹線の特急料金を、在来線区間では「幹在特」(A特急料金の約3割引)の特急料金を適用している。

また、指定席を利用する場合、在来線区間のみの利用で座席指定料金相当額の530円をプラス。新幹線~在来線のまたがりでは新幹線区間で530円、在来線区間で380円をプラスして合算している。

今回導入される新料金体系では、在来線区間の特急料金について、新幹線区間からのまたがりの有無にかかわらず共通の特急料金を適用。さらに座席指定料金相当額も「新幹線~在来線のまたがり」「在来線のみ」にかかわらず一本化してプラス530円とした。この結果、指定席特急料金は従来と同額か値下げになる。

山形・秋田新幹線の新しい特急料金体系の仕組み。【画像:JR東日本】

一方、山形~新庄間「つばさ171号」普通車自由席専用の「つばさモーニング特急券」は発売を終了。自由席利用商品の「タッチでGo!新幹線」は新幹線区間と在来線区間にまたがっての利用はできなくなり、在来線区間のみ利用の場合は普通車指定席の空席を利用する形になる。

「つばさ定期券」は引き続き発売され、普通車指定席の空席を利用できるようになる。この定期券も新料金体系の導入に伴い値下げされる。

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