国交省が新幹線の浸水対策「考え方」まとめる 長野や大阪などの車両基地が該当



国土交通省の鉄道局は12月24日、新幹線の車両と重要施設における浸水対策の考え方をまとめたと発表した。今年10月の台風19号の影響で、車両基地に留置されていた新幹線の車両が浸水し、被害が大きくなったことを受けたもの。

北陸新幹線の長野新幹線車両センター。【丸岡ジョー/写真AC】

おもな対策としては、計画規模降雨により浸水被害が想定される車両基地などの重要施設では、高所への移設や防水扉の設置など、運行への影響を少ない範囲にとどめるような対策を検討すべきとした。北陸新幹線の長野新幹線車両センターと東海道新幹線の鳥飼車両基地がこれに該当する。

また、想定される最大規模の降雨で地盤面から50cm程度以上の浸水被害が想定される車両の留置場所では、車両の避難計画など浸水被害を最小化する対策も検討するものとしている。こちらは長野新幹線車両センターと奥羽本線(山形新幹線)の新庄運転区、東海道新幹線の鳥飼車両基地、山陽新幹線の博多総合車両所岡山支所と同広島支所、九州新幹線の熊本総合車両所が該当するという。

国土交通省は「今後、鉄道事業者において、今回のとりまとめを踏まえた必要な対策が行われるよう取り組んでまいります」としている。

今年10月の台風19号では、JR東日本・北陸新幹線の長野新幹線車両センターに留置されていたE7系(JR東日本)とW7系(JR西日本)の合計120両(12両編成10本)が浸水し、使用できなくなった。このため現在も北陸新幹線は車両不足となっている。JR東日本とJR西日本は、浸水した車両をすべて廃車にする方針だ。