旅客運送を行っている鉄軌道事業線のうち、災害や事故、工事などで長期運休中の路線は2025年12月時点で8社12線だった。総距離は420.5kmに及ぶ。2025年12月は青森県東方沖で大きな地震が発生し、JR八戸線の高架橋が損傷。秋田内陸縦貫鉄道では脱線・転落事故が発生して長期運休のおそれもあったが、いずれも12月末までに運転を再開している。

2025年12月末時点の長期運休路線は次の通り。
JR東日本:津軽線
運休区間:蟹田~三厩
運休距離:28.8km
2022年8月の大雨で路盤流出などの被害が発生。代行バスの運行や乗合タクシーへの振替輸送が行われている。なお、蟹田~新中小国(信)を通る貨物列車は運行されている。
JR東日本と沿線自治体は鉄道を廃止して新たな自動車交通に転換することで合意しており、2026年度には鉄道事業の廃止手続きが行われる見込み。

JR東日本:陸羽東線
運休区間:鳴子温泉~新庄
運休距離:49.2km
2024年7月の大雨で盛土崩壊などの被害が発生。代行バスが運行されている。2025年9月から復旧工事に着手したが再開時期は未定。

JR東日本:陸羽西線
運休区間:新庄~余目
運休距離:43.0km
陸羽西線のトンネルに近接する道路トンネルの工事に伴い2022年5月から全線運休中。代行バスが運行されている。当初は2024年度中の再開を予定していたが道路トンネル工事が難航し、2026年1月16日から運転を再開する。

JR東日本:米坂線
運休区間:今泉~坂町
運休距離:67.7km
2022年8月の豪雨の影響で橋梁の崩落など甚大な被害が発生。代行バスが運行されている。JR東日本は自社単独での復旧・運転再開は困難との考えを示しており、上下分離方式の導入や第三セクター化、バス転換も検討されている。

いすみ鉄道:いすみ線
運休区間:大原~上総中野
運休距離:26.8km
2024年10月に発生した脱線事故の影響で全線運休中。代行バスが運行されている。いすみ鉄道は大原~大多喜について2027年秋ごろの再開を目指している。大多喜~上総中野の再開時期は未定。

黒部峡谷鉄道:本線
運休区間:猫又~欅平
運休距離:8.3km
2024年1月に発生した能登半島地震の影響で橋梁が損傷。早ければ2026年10月ごろにも再開の見通しになった。
大井川鉄道:大井川本線
運休区間:川根温泉笹間渡~千頭
運休距離:19.5km
2022年9月の台風の影響で甚大な被害が発生。運休区間を含む家山~千頭で代行バスとコミュニティバスが運行されている。2029年春ごろの再開が見込まれている。

広島電鉄:本線・皆実線
運休区間:稲荷町~的場町~比治山下
運休距離:1.2km
2025年8月3日の駅前大橋ルート開業に伴う運行ルートの変更で従来の運行系統が通らなくなり休止中。2026年春に再開して循環系統の電車が新たに運行される。

JR西日本:美祢線
運休区間:厚狭~長門市
運休距離:46.0km
2023年6~7月の大雨の影響で橋梁崩落などの被害が発生。代行バスが運行されている。JR西日本と沿線自治体は鉄道を廃止してバス高速輸送システム(BRT)に転換する方向で合意している。

JR九州:肥薩線(2020年7月~)
運休区間:八代~人吉~吉松
運休距離:86.8km
2020年7月の豪雨の影響で橋梁が流出するなど甚大な被害が発生。八代~葉木と一勝地~人吉で代行バスが運行されている。これ以外の区間では代行輸送は行われていない。
八代~人吉の51.8kmは上下分離方式の導入を条件にした復旧が計画されており、JR九州は2033年度の再開を目指している。人吉~吉松35.0kmの扱いは未定。

JR九州:肥薩線(2025年8月~)
運休区間:吉松~隼人
運休距離:37.4km
2025年8月の大雨の影響で築堤崩壊が発生。9月1日から代行バスが運行されている。JR九州は2026年6月末ごろの再開を目指すとしている。

くま川鉄道:湯前線
運休区間:人吉温泉~肥後西村
運休距離:5.8km
2020年7月の豪雨の影響で球磨川第4橋梁が流出するなど甚大な被害が発生。代行バスが運行されている。自社単独での復旧が困難だったことから公有民営の上下分離方式を導入したうえで復旧することになり、現在工事中。2026年4月1日に上下分離方式に移行し、2026年度上半期の全線再開を予定している。

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