くま川鉄道「2026年度上半期」全線再開へ 再構築認定、公有民営の上下分離に移行



国土交通大臣は10月24日、くま川鉄道(熊本県)などが申請していた湯前線の鉄道事業再構築実施計画を認定した。これにより同線は上下分離方式の経営に移行するとともに、災害運休中の区間を復旧して全線の運転を再開する。

くま川鉄道の車両。【画像:Kuwa。/写真AC】

対象路線は湯前線・人吉温泉~湯前の24.8km。このうち人吉温泉~肥後西村の5.8kmが運休中だ。現在はくま川鉄道が第1種鉄道事業者として湯前線を運営しているが、再構築実施計画に基づき公有民営の上下分離方式に移行。一般社団法人くま川鉄道管理機構が鉄道施設を無償で譲り受け、第3種鉄道事業者として施設を保有する。くま川鉄道は管理機構から施設を無償で借り入れて運行する第2種鉄道事業者に変わる。

事業費は35億1400万円で、鉄道施設の改修・更新に29億9000万円、維持・修繕の充実に5億3000万円を投じる。改修・更新費の大半は社会資本整備総合交付金を活用する予定だ。

計画期間は2026年4月1日~2036年3月31日の10年間。上下分離方式への移行と全線運転再開は2026年度上半期を予定している。再構築実施計画を実施した場合、計画最終年度(2035年度)の年間輸送人員は54万8000人で129万円の黒字を見込む。

湯前線の再構築実施計画。【画像:国土交通省】

湯前線は1924年、国鉄線として開業。1987年には国鉄再建法に基づき廃止対象に指定された。沿線自治体が出資する第三セクター化で鉄道を存続することになり、国鉄分割民営化で発足したJR九州への暫定継承を経て1989年にくま川鉄道が運営を引き継いだ。輸送密度は国鉄時代の1977~1979年度で3292人だったが、2010年代は1000~1100人台で推移していた。

2020年7月、豪雨の影響で全線が運休。2021年11月には被害が比較的小さかった肥後西村~湯前の運転が再開された。一方、人吉温泉~肥後西村は球磨川第4橋梁が流出するなど甚大な被害が発生して単独での復旧が困難だったこともあり、行政支援や上下分離方式への移行を条件に復旧事業に着手。昨年2024年6月に熊本県や沿線10市町村がくま川鉄道管理機構を設立し、今年2025年9月1日には関係者が地域交通法に基づき鉄道事業再構築実施計画の認定を申請していた。

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