沖縄鉄軌道「一部区間の先行整備」も検討へ 知事が考え示す



沖縄本島を南北に縦断する鉄道の構想「沖縄鉄軌道」について、沖縄県の玉城デニー知事は、一部区間の先行整備も含め早期導入を目指す考えを明らかにした。

戦前の沖縄県営鉄道那覇駅。1945年に消滅した。【所蔵:那覇市歴史博物館】

沖縄県は本年度2025年度から来年度2026年度にかけ、沖縄鉄軌道の最新の費用便益比(B/C)を算定する考え。玉城知事は8月7日の定例記者会見で「鉄軌道の必要性とともに幅広い効果を説明していきたい」と述べた。

整備手法については「沖縄県における鉄軌道は総事業費が6000億円を超える戦後最大級のプロジェクトであるため、早期事業効果の発現等の観点から収益性の高い地域での先行整備も含め、鉄軌道の早期導入を国に求めていきたい」「たとえば、那覇から名護までというようないまのプランをまず1期目にここからここまで、2期目にここからここまでという形」などと話し、那覇~名護の全線一括ではなく段階的な整備も検討する考えを示した。

沖縄県が2018年に示した沖縄鉄軌道のルート。【画像:沖縄県】

沖縄県は2018年にまとめた構想計画書で、沖縄鉄軌道の整備ルートとして那覇~浦添~宜野湾~北谷~沖縄~うるま~恩納~名護を示している。国の内閣府も那覇~名護などを中心に調査を毎年度実施。これまでの内閣府の調査では、B/Cは鉄道の整備で得られる効果と事業費が同一になる「1」を大きく下回っており、2024年度の調査でもB/Cが最大で0.83だった。

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