バルト3国とほかの欧州連合(EU)加盟国とのアクセスを強化する鉄道プロジェクト「レール・バルティカ」の整備エリアのうち、リトアニアのヨナヴァ地区で線路敷設工事が始まった。レール・バルティカの事業実施主体「RB Rail AS」が10月6日、発表した。

ヨナヴァ地区のシュヴェイチャリヤ~ジェミアイの8.8kmは今年2025年末までに線路が完成する予定。RB RaIl ASは「リトアニアでの欧州標準軌(1435mm)鉄道の発展における大きな節目」になるとアピールしている。
RB Rail ASによると、エストニアでは105kmの土木工事と関連インフラの工事が進行中で200kmの土木工事と上部工工事が契約済み。現在はウレミステ駅など主要ターミナルを含む100km以上の土木工事が進行中だ。ラトビアではイェツァヴァ近郊の南部区間が優先的に建設されている。
リトアニアでは、カウナス~パネヴェジースの建設が進んでおり、現在77kmの盛土と土木構造物の整備が進められている。2025年末までに線路敷設やネリス川に架かる新橋の建設などが進められるという。

レール・バルティカはポーランドの首都ワルシャワから北上してバルト3国を縦断し、エストニアの首都タリンに至る、全長870kmの鉄道プロジェクト。2本のレール幅(軌間)を標準軌に統一した鉄道を既存路線の改良や新線の整備で構築し、フランスやドイツ、ポーランドなどとバルト3国を直結する。最高速度は旅客列車が240km/hで、貨物列車は120km/h。2019年に起工式が行われて順次工事に着手した。2030年には暫定的に開業する予定。
バルト3国の鉄道の軌間は1940年代のソ連編入以降、ロシアと同じ1520mmの広軌を採用。1990年代の独立回復後は欧州のほかの国との関係を深めたが、標準軌を採用している欧州主要国と軌間が異なることから輸送力増強の障害になっていた。
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