上越新幹線で「荷物専用列車」多量輸送を試行、車両基地での荷扱いなど検証



JR東日本とJR東日本物流の2社は8月9日、新幹線荷物輸送サービス「はこビュン」による多量輸送を上越新幹線で試行すると発表した。6月に東北新幹線で試行した多量輸送では臨時旅客列車の一部車両を荷物専用としたが、今回は荷物専用の臨時列車を設定する。

上越新幹線や北陸新幹線で運用されているE7系。【画像:日和1997/写真AC】

試行日は8月31日。輸送区間と時刻は上りが新潟新幹線車両センター9時31分発→東京新幹線車両センター11時56分着で、下りは東京新幹線車両センター16時32分発→新潟駅18時48分着になる。一部の商品は途中駅での積み込みなども行う予定。

12両編成の4両(7~10号車)を荷物車とし、鮮魚・青果・菓子・酒類・生花・精密機器部品などを詰めた約700箱を搭載。9・10号車には医療用医薬品や雑貨など約100箱も搭載する計画だ。

今回の試行では、車両基地での荷物の搬出入や積み下ろし、荷さばきと、車両基地にある既存の機材を使った業務の省力化、客室輸送専用シッパーなどの試用による荷扱い業務の生産性向上の検証を行う。

多量輸送のイメージ。【画像:JR東日本・JR東日本物流】

2社によると、車両基地で荷物の搬出入や積み下ろし、荷さばきを行うことで、従来の駅ホームでの作業に比べスペースと時間を十分に確保できる。また、車両基地にはフォークリフトやターレットトラックなどの機材がすでにあり、これらを活用することで人手不足を考慮した省力化を行うという。

「はこビュン」は2021年10月に始まったJR東日本グループの列車荷物輸送サービス。東北・上越・北陸新幹線の旅客列車を使って少量の荷物を運んでいる。今年2023年6月には東北新幹線で多量輸送を試行。新青森→大宮に設定した臨時「はやぶさ」の10両編成中3両(6~8号車)を荷物専用車とし、鮮魚やスイーツ、生花、電子部品などを取り扱った。

2社は新幹線の車両基地を活用した多量輸送の試行を引き続き実施する方針。2024年度以降の事業化に向け取り組んでいくとしている。

上越線の普通列車(1982年ごろ)。旅客車の上野寄りに荷物車や郵便車を連結していた。【撮影:草町義和】
国鉄時代に上越線を走っていた荷物列車。荷物電車のクモニ83形だけで編成されている。【撮影:草町義和】

国鉄時代は貨車による貨物輸送のほか、旅客車と同じ構造の荷物専用車(荷物車)による小口の荷物輸送も行っていた。旅客列車に荷物車を1~2両連結して荷物輸送を行っていたが、荷物車だけで編成された荷物専用列車も運行していた。

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