東京都交通局は11月6日、都営地下鉄の全駅でホームドアの整備が完了すると発表した。まず交通局が単独で管理する駅のホームドアの整備を今月11月中に完了。来年2024年2月には他社と共同で使用している駅も含め、ホームドアの整備率が100%になる。
ホームドアの整備が完了していないのは現在、浅草線の西馬込駅と押上駅のみ。このうち京成押上線が乗り入れる押上駅は京成電鉄との共同使用駅で、同社と共同でホームドアの整備を進めている。まず11月18日の始発から西馬込駅でホームドアの運用を開始。ホームドアの設置が順次進められている押上駅も、来年2024年2月20日には全ホームのホームドア整備が完了する予定だ。
都営地下鉄は浅草線・三田線・新宿線・大江戸線の4路線。このうち三田線は2000年にホームドアの整備が完了し、2013年には大江戸線でも整備が完了した。
交通局によると、新宿線と浅草線は相互直通運転を行う各社と調整を実施。東京オリンピック・パラリンピックの開催までに新宿線の全駅と、オリンピック・パラリンピック開催時に利用者が増えると見込まれた浅草線の4駅(新橋~泉岳寺)で整備を完了した。その後も本年度2023年度までの全駅整備完了を目指し、浅草線のホームドア整備を進めてきた。
浅草線の場合、複数の鉄道事業者による相互直通運転を行っていることから、各社からの乗り入れが多く、車両によっては機器の設置が難しいなどの課題があった。このためQRコードを用いたホームドア開閉連動技術をデンソーウェーブと共同で開発。ドアに貼り付けたQRコードをホーム上のカメラでドアの位置や数などを読み取り、ホームドアを開閉する仕組みにした。
ホームドアの整備では世界的な半導体不足の影響でホームドアの製造に最大10カ月の遅れが出た。このため設置後の動作確認手順の見直しや複数駅での同時施工、列車を使用したホームドアの搬入などにより工程を大幅に圧縮し、早期の整備完了に努めたという。
交通局が公表したデータによると、ホームからの転落件数は2007~2012年度で年間50~80件程度だったが、大江戸線のホームドア整備完了後の2013年度以降は年間50件程度に減少。新宿線と浅草線のホームドア整備が順次進んだ2019年度以降は大幅に減少し、2022年度は10件を下回った。
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