オーストリア・イタリア国境「世界最長かも」鉄道トンネルの調査坑が貫通



オーストリア・イタリア国境のブレンナー峠を貫く長大鉄道トンネル「ブレンナーベーストンネル」の調査坑が9月18日、貫通した。

試掘坑が貫通したブレンナーベーストンネル。【画像:BBT】

ブレンナーベーストンネルはオーストリア西部のインスブルックとイタリア北部のフォルテッツァを結ぶトンネル。ブレンナー峠の自動車交通量の増加に対応することやアルプス地域の環境負荷軽減を図ることを目的に計画され、2007年に工事が始まった。

単線の鉄道トンネル2本と調査坑で構成される。鉄道トンネルは貨客併用で最高速度は旅客列車が250km/h、貨物列車は120km/h。インスブルック~フォルテッツァの所要時間は現在80分だが、ブレンナーベーストンネルが開通すると25分に短縮される見込みだ。

ブレンナーベーストンネルの位置(赤)。【画像:OpenRailwayMap/OpenStreetMap、加工:鉄道プレスネット】

全長は世界最長の鉄道トンネルであるスイスのゴッタルドベーストンネル(約57km)に次ぐ約55km。ただしインスブルック寄りで別のトンネルと接続することになっており、これを含めると長さは約64kmに達して世界最長になる。

ブレンナーベーストンネルを構成するトンネルと同トンネルに関連するトンネルを含めた掘削距離は合計230kmの計画。このうち204kmの掘削が完了している。完成は2032年ごろの予定だ。

《関連記事》
ドイツ~イタリア「直通高速列車」運行へ 将来は全長55kmのトンネルで時間短縮も
オーストリア「ゼメリングベーストンネル」掘削完了 長さは八甲田、首都~南部を短絡
フランス・イタリア結ぶ「世界最長トンネル」工事、国境部の掘削開始へ