長崎「ジャパネット・ロープウェイ」スタジアムシティ延伸、2022年度にも方向性



長崎の市街地と稲佐山の山頂を結ぶ長崎ロープウェイ(ゴンドラは2011年まで使われていたもの)。【画像:Atsasebo/wikimedia.org/CC BY-SA 3.0】

長崎市は9月15日、長崎ロープウェイの延伸構想について来年度2022年度をめどに方向性を示す考えを明らかにした。同日開かれた定例市議会で永尾春文議員(公明党)の質問に答えた。

長崎ロープウェイは、市街地側の淵神社駅と稲佐山山頂側の稲佐岳駅を結ぶロープウェイ。現在は2019年にロープウェイの指定管理者に指定された「リージョナルクリエーション長崎・長崎ロープウェイ事業共同体」が運行している。共同体を構成するリージョナルクリエーション長崎は、通販大手ジャパネットホールディングスの子会社。

長崎市が市議会で明らかにしたところなどによると、長崎ロープウェイは淵神社駅の場所が分かりにくく交通アクセスが不便なことに加え、1959年の開業から60年以上が経過して駅舎や鉄塔などの施設が老朽化している。こうした課題の解決に向け、同市はロープウェイの延伸・移転の可能性を調査。昨年2020年3月、ロープウェイを幸町の工場跡地に延伸する案が最適とする調査報告書をまとめた。

長崎市の調査で検討された長崎ロープウェイ延伸・移転の4案。調査報告では現在のルートで延伸するB案が最適とされた。【画像:長崎市】

永尾議員は延伸可能性調査後の進ちょく状況を質問。これに対し長崎市は「運営方法や財源、既存ロープウェイの解体や用地取得、概算事業費の算出など、さまざまな課題の解決法を議論している。延伸した場合の長期的な収支算定と継続的な運営の可能性について精査を進めており、2022年度中をめどに方向性を示すことができるよう取り組んでいきたい」と応じた。

幸町の工場跡地では、ジャパネットホールディングスが主導する「長崎スタジアムシティ」の整備計画があり、今年2021年3月に国土交通大臣が民間都市再生事業計画として認定した。約2万人規模のスタジアムと約5000人規模のアリーナ施設のほか、スタジアムビューが楽しめる併設ホテルや商業施設、大規模賃貸オフィスが整備される。2022年に本格着工し、2024年にもオープンする予定。ジャパネットはこの計画にあわせ、ロープウェイの長崎スタジアムシティへの延伸を希望している。

2020年9月の市議会で示された資料では「既設のロープウェイは駅舎や支柱、構造物が全て現状の『31人乗り』に合わせて造られていることから、既存設備の改修による客車の大型化や速度アップを図ることは困難」とし、設備更新と併せて延伸など利便性向上の可能性を検討するものとしている。

調査報告で設定された設計の基本条件では、更新後のロープウェイは索条を現在の「1支索2えい索」から「2支索1えい索」に変え、客車(搬器)の定員は現在(31人)の3倍以上となる101人に。速度も現在の5m/sから7m/sにアップし、片道1時間あたりの輸送力は現在の310人から1168~1284人に向上するとしている。

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